Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

緊急時の個人データ活用(前編)

 時間が経てばたつほど、今回の台風19号の被害は大きかったのだなと感じる。福島県の死者が一番多かったのは、阿武隈川と安達太良川の合流点付近での氾濫などによるもの。この地点では、犠牲者の多くが1階で亡くなった。雨風が収まった、その後に洪水はやってきた。運の悪いことに深夜で、すでに寝入ってしまった人も多かったろう。

 河川の増水は検知できなかったのだろうか、できたとしても警報を鳴らせなかったのかもと思っていた。すると河川水位を計測する水位計が十分行き渡っていなかったとの報道に、まずデータ活用以前にデータ取得ができていなかったのかと理解した。長野県の例だが、計測機器がある河川は1/10ほどだという。理由は十分な予算措置ができていないからとTVニュースは言うが、それならまた増税というのでは芸が無さ過ぎる。

 

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 東日本大震災の直後、ITS-Japanがホンダ・ニッサントヨタ・パイオニアのカーナビベンダー各社のデータを集めて、24時間以内に車の通ったところを地図上に示して迂回路や孤立地帯をはっきりさせた。あれだけの広域ゆえ、自治体や国土交通省が現地調査をして通行可/不可を判断していたら、数日〜十数日はかかるであろうことをリアルタイムでできたという意義がある。官製データだけでは不十分で、民間データが役に立つことを証明した例だ。

 であれば河川水位の上昇を計測するのに、水位計以外の手段も無かったのかという具合に柔軟に考えることもできる。もちろん国や自治体が管理する監視カメラの活用は、厳密に水位計測はできなくても概況をつかむのに役立つ。さらに民間の監視カメラや、堤防上の道路を走行している自動車のドライブレコーダー映像も使えるだろう。自動車のGPSデータも同時取得できるから、どの地点で水位などがどうなっているか、1,000万の水位計がもたらすデータが集まるように思う。

 

<続く>