Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

この人道援助だけはしてはいけない

 昨年秋から、北朝鮮との関係で何かが起きるという噂はあった。外交が得意とされる岸田首相は、秋の政局を、

 

内閣改造

・旧統一教会解散命令

 

 に加え、電撃訪朝や拉致被害者の何人かの帰国というイベントで乗り切ろうとしていたフシ(*1)はある。現実には今まで、そのようなことは表面化しないで、減税で乗り切ろうとして裏金問題が爆発し、現状の支持率低迷となった。

 

 しかし窮地のはずの岸田総理が意外と元気だとする報道は多く、やはり北朝鮮との何かで一発逆転を狙っているのではないかとする記事が出た。

 

「核が使われる第二次朝鮮戦争が勃発するその前に…」岸田内閣が「電撃訪朝」に焦りまくる極秘事情(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/4) (gendai.media)

 

    

 

 確かに北朝鮮からは、能登半島地震へのお見舞いや「拉致問題を持ち出さないなら」という条件付きながら、訪朝を誘うメッセージが届いている。これに呼応する形で電撃訪朝し、何人かを連れ還って支持率向上というシナリオを考えている公算はある。

 

 今北朝鮮は、ロシアとの関係が良好で(市民の困窮はともかく)安定した状態(*2)だ。しかし「もしトラ」になったら、

 

ウクライナ戦争が(どうやってかは別にして)終わる

・ロシアは一旦兵を引き、北朝鮮は必要ではなくなる

・韓国に売ってしまった喧嘩の落とし前を付けないといけない

 

 事態に直面し、日本を介してトランプ政権に渡りを付ける必要がある。もっと直接的に、日本からの人道援助も欲しい。そのためなら前言を翻して、拉致被害者を還してくる可能性もある。

 

 しかし客観的に見て、岸田政権の復活(!)は、この程度のことではあり得ない。政権最後のあがきとして、人道援助の名のもとに北朝鮮金王朝を援けるなどあってはならない。

 

 拉致被害者家族会には誠に申し訳ないのですが、今は我慢していただきたい。金王朝が瓦解すれば、生存者救助の可能性もありますから。

 

*1:どうなる?晩秋の政局 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

*2:ただ最後の同盟国キューバが韓国と国交を結ぶなど、外交的には苦しい面も

セキュリティ・クリアランス制度活用を

 自民党柿沢議員が辞職して、4月に補欠選挙が行われる予定の東京15区について、種々のさざなみが立っている。自民・公明の連携が難しそうで、与党候補者の公募が出来ていない。一方の野党も、国民民主党の候補がラウンジ勤めをしたとかしないとかでもめ、党からの推薦が取り消しになっている。

 

 この件について、維新の会の音喜多議員が「候補者の身体検査を政党として、どこまでできるのか?」との意見を述べた(*1)。この発言の意図は、国民民主党玉木代表への援護なのかどうか不明だが、発言内容は理にかなっている。ただ、当選すれば国会議員として、国家機密に触れるかもしれない立場の人が、身体検査抜きで登場するというのも、市民として不安である。

 

    

 

 昨日も、自民党議員で総務副大臣を務めた人の外交顧問が、詐欺罪で逮捕された事件を紹介した。容疑者は経済安全保障法制についての報告の場に立ち会っていたから、機密情報管理上の問題もあると認識(*2)している。

 

 だから国会議員には、民間人に先駆けてこの制度の対象として適格性審査を受けて欲しい、できれば秘書さんなども・・・と僕は思っている。国会議員の候補者の身体検査が、政党として十分できないというのなら、この制度を(議員就任に先だって)適用してもいいのではないか?

 

 いや、それでは国会議員の成り手が減ると言われるのなら、この制度を受けるかどうかは民間人のケースでも同意が前提なのだから、評価されたくない人は受けなくていい。ただし立候補時に、SC取得/未取得は選挙公報、ポスター等に明示するという案でどうだろうか?もちろん、適性が無かった場合でも「不適正」ではなく、あくまで「未取得」でいいから。

 

 政党として、外交・安全保障をしっかりやっていくという意志があるなら、議員や候補者(できれば秘書も)には、適格性審査を受けることを勧めてもらいたいと思います。いかがでしょうか?

 

*1:そもそも政党に候補者の「身体検査」はどこまで可能なのか問題 - 音喜多駿(オトキタシュン) | 選挙ドットコム (go2senkyo.com)

*2:国会議員と周辺の適格性審査 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

国会議員と周辺の適格性審査

 不思議なことに<週刊新潮>だけが2年ほど前から報じているのが、中国秘密警察の秋葉原拠点のこと。中国が国外に秘密警察拠点を多く持っているのは「公然の秘密」だが、もちろん日本にもある。そのひとつ秋葉原拠点では、ビジネスホテルを隠れ蓑にマッサージ店などがあり、あろうことか自民党参議院議員に取り入っていたという。

 

 その件が、ついに動いた。この拠点で活動していた中国籍の女2人を公安警察が挙げ、検察庁書類送検したという報道がこれ。

 

自民党参院議員“元秘書”の「中国人美女」がついに書類送検 捜査のウラにあった中国「秘密警察拠点」と重要法案の存在(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

 

 その一人呉容疑者は、自民党松下議員の外交顧問の肩書を持ち、議員会館にも出入りし、行政サイドからの説明にも同席していたという。今回の容疑は「詐欺」だが、恐らくはもっと深い容疑があって、記事では経済安全保障推進法に関する情報を得ていたことだとほのめかしている。

 

    

 

 まさにその法律にからんで「セキュリティ・クリアランス制度」が議論されている(*1)のだが、中国の情報収集をいかに防ぐかが主目的の制度ゆえ、かの国が霞ヶ関や永田町の状況を知りたがるのは当然といえる。内偵開始から2年は経っていて、遅いとはいえ公安警察は仕事をしたといえるだろう。

 

 問題点はやはり、セキュリティ・クリアランスの適格性審査の対象に国会議員が入りそうもないことだと思う。

 

クリアランス制度の適性評価 - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

 

 で「まず隗より始めよ」だから民間人の適格性審査の前に、国会議員にも適用をと述べた。昨年末、霞ヶ関関係者に聞くと「国会議員や大臣は対象ではないが、漏洩すれば罰則はある」といなされてしまった。

 

 しかしやはり、民間人に適格性審査をする前に、国会議員とその周辺には評価をして欲しいと思う。今回のように「叩けばホコリ」が出てくるかもしれないのだから。ひょっとして、そのホコリが問題ですかね?

 

*1:Cyber Initiative Tokyo 2023(第二日) - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

「日本のための選択肢」になるの?

 米国はもちろん、欧州各国で移民問題が「爆発」している。これに対して各国の極右政党が支持を集め、イタリアでは政権を獲ってしまったし、ドイツでは公然とナチス礼賛をしている。

 

 欧米各国よりずっと少ない比率とはいえ、日本でも外国人労働者は増えていて、中にはずっと難民申請中の人や、不法移民もいる。一部の政治家は、これを厳しく批判しているが、その典型的な記事がこれ。

 

自民若林氏、クルド人憎悪あおる 「国にお帰り」とSNSに投稿(共同通信) - Yahoo!ニュース

 

 一晩で3,000以上のコメントが付き「若林議員の意見に賛成」という論調が多い。あるコメントには、やはり一晩で2万を超す<いいね>が付いた。この記事で「あおる」と表現したメディアに対する非難も多い。

 

        

 

 裏金問題等で支持を失った自民党、中でも右寄りとされる旧安倍派の議員への風当たりは強い。そんな中で、彼らが極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」ばりに、反移民政党として離脱する可能性もないではない。例えば受け皿として、日本保守党(*1)というのもあるかもしれない。政策にはきっちり「移民政策の是正」が謳われていることだし。

 

 選挙区が広く地縁血縁が重要な田舎と違い、地方都市が選挙地盤の政治家は、それほどの裏金を必要としない。彼らは「裏金議員と一緒にされたくない」と考える。また裕福でない外国人が集団で暮らすことは、都市部の市民による切実な問題だ。そんなことから、自民党の都市エリアの議員がこの政策を表に掲げて、次の選挙を戦いたいと考えるのも必然である。共産党など左派の政党には、この問題に強硬な提案をできない弱みもある。

 

 立憲民主党の泉代表の言う「ミッション型内閣」は、無理筋でしょう。政界再編があるとすれば、例えばこんな形で自民党が割れること、「日本のための選択肢」が示されることではないでしょうか?

 

*1:日本保守党の重点政策項目 - 日本保守党|日本を豊かに、強く。 (hoshuto.jp)

「平和の党」が抵抗している

 「防衛装備品の移転」という言葉は、官僚得意のレトリック。僕はどうしても好きになれない。ストレートに「武器輸出」と言って欲しいものだ。現状を整理すると、安倍内閣の時に少しだけ規制が緩和され、

 

・救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に関するものは輸出可能

・紛争当事国には輸出できない

 

 となっている。それでも(供与・支援だから輸出ではないが)紛争当事国のウクライナに、ヘルメットなどの防護品・小型の偵察用ドローン・糧食・トラック等の輸送車両を送っている(*1)。ウクライナからすれば、自衛隊が廃棄予定の74式戦車やMLRSが欲しいだろうが、流石に日本政府もそこまでは踏み切れない。

 

        

 

 今の争点は何かというと、英国・イタリアと共同開発予定の次期戦闘機を第三国に輸出できるかどうかである。与党内で輸出可能の方向性が決まっていたのだが、昨年11月に公明党山口代表が中国に行ってから(何を吹き込まれたのか?)反対と言い始めた。現在、自民・公明両党間での折衝が続いている。

 

防衛装備品の第三国への輸出 “政府は丁寧に説明を” 公明 | NHK | 安全保障

 

 もっとも公明党も「ダメ」とは言っていない。「国民への丁寧な説明」を求めているのだ。であれば、岸田総理は「真摯に説明」すればいいだけのこと。殺傷能力の有無にかかわらず防衛装備品は、

 

・実際に使われなければ役に立つかどうかわからない(Battle Proof)

・(西側だけだとしても)グローバルスタンダードであって欲しい

・量産されれば単価が下がり、総コストを抑えることができる

 

 から、輸出できることは必須条件。これが産業界の常識なので、それを正直に言ってくれればいいだけのことです。「平和の党」の後ろにいる写真の学会の人達にも、丁寧に説明してあげてくださいね。

 

*1:防衛省・自衛隊:ウクライナへの装備品等の提供について (mod.go.jp)