Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

マンダリン・オリエンタルでのパーティー

 ある外資系企業さんの社内イベントで、短いスピーチをすることになった。世界でも名の通った企業だが、このところ日本で急成長。従業員もどんどん増やしている。その多くは当たり前だが、中途採用。国内企業からはもちろん、別の外資系企業からも積極的に採用している。

 

    

 

 場所は日本橋、日銀の東側にあるマンダリン・オリエンタルホテルのボールルームである。先日COREDO室町の「四川飯店」に行ったが、その向かいのビルらしい。ほとんど土地勘のない日本橋エリアだし、初めてのビルなので早めに行ってみた。広々としたホールに軽食と飲み物が準備されている。椅子は脇に少しあるだけ。演壇の上に巨大なスクリーンがあって、それを見ながら歓談しようという場だ。社内イベントにしてはお金をかけている。

 

 主催者に聞くと、このような会をすることになった目的は、

 

・急成長しているしテレワーク中心だったので、お互い顔を知らないメンバーが多い

・複数の部署が連携するべき案件が増えているが、皆他の部門のことは知らない

 

        

 

 状況を打開したいからだという。僕の役割は「外部から見たこの社の特徴と、全体として期待していること」をお話するというもの。役員クラスの人も僕よりずっと若い。そんな集団の中で、何人か知り合いを見つけた。霞ヶ関にいた人、経団連の会合であった人・・・。彼らが別の(多くはずっと若い人)を紹介してくれて、話に華が咲いた。

 

 各部門長(役員)の自己紹介や部門の得意とするところ、これから目指していることなどを、うまくプレゼンしてくれるが、昼間っから出来上がっている人もいてろくに聞いていないように思う。それでも、雑談が重要なこの会合の目的は果たしたのだろう。

 

    

 

 お話をして肩の荷が下りたあと、ビールを2杯と白ワインを1杯いただきました。つまみもいくつか取りましたが、一番おいしかったのはビーフカレー。ほんの一口のつもりが、結局お腹いっぱいになって帰るはめになりました。あー、3時間の立食は大変。

中国を去る外国人

 明日から中国で「反スパイ法」が施行される。これまでも習政権に都合の悪いことをしている人には、何らかの罪を着せて投獄するというのは常態化していた。そのようなことが、より広範囲にできるようになりそうだ。

 

 もちろん日本と違いスパイ防止の法律はあって「外国機関と共謀して国家機密を窃取」すれば処罰の対象となっていた。スパイ行為とされる対象が今回は広がる。

 

・国家の安全と利益にかかわる文書・データ・資料等

 

 が国家機密に加わった。国家の安全と利益については定義がなく、拡大解釈される恐れは充分にある。ある記事は、地図などをWebサイトで検索しただけで罪になりかね魁と警告する。サイバー空間そのものが「中国国防法」では主権エリアと定義されているから、そこで些細ないたずらでもしようものなら即逮捕もあり得る。

 

        

 

 こうなっては「もう中国はいられないよね」と思う人も増えているようで、富裕層や外国人の逃散がとまらないとも聞く。

 

「さよなら中国...」中国人学者が言えなかった、外国人が大量出国する「本当の理由」とは?(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース

 

 特に外国人については、この記事に言うようにこの10年間で半減している。とはいえ、総人口に占める外国人比率は0.05%というから、数の上では問題にはならない。それよりも、外国人がもたらすイノベーションの機会(*1)が減るのが、中長期的に経済に効いてくる。

 

 その逃散が「反スパイ法」で加速すると予想される。そういえば僕ももう十数年かの地を踏んでいない。香港旅行でさえ、10年は遠ざかっている。でも中国のWebサイトを全く見ないかというとそんなことはないので、同法の域外適用で日本にいても逮捕される・・・などというのは困る。そういえばかの国は世界中に「秘密警察」を持っているとも噂されます。うーん、困りましたね。

 

*1:技術等を持つヒト、外国人にしか扱えない設備(モノ)、投資などのカネ

消費者の視点では、どちらが安全?

 AppleiPhoneは、好む人も多いけど相対的に高い。だからというわけではないが、僕は公用携帯としてはiPhoneを使っていたが、私用では簡単スマホからGoogle-Pixelに替えたところ。だから、iPhoneのアプリはAppleストアからしかダウンロードできないことは知らなかった。公用携帯は、会社規則で勝手にアプリのダウンロードはできなかったのだ。

 

 ところが、先日iPhoneのヘビーユーザと話していて、

 

アップルに「アプリストア」開放義務づけへ、政府が新たな巨大IT規制…他社参入促す : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

 の件の問題点を教えてもらえた。要するに、

 

    

 

Appleストア以外の参入をさせず、アプリ企業に高額の手数料負担をさせている

・他のアプリストアからのダウンロードを認める法改正を検討する

 

 ことで、競争を促しアプリ企業の負担を減らして、Appleが排除してきた(国内)企業の新規参入を促し、結果として消費者に安全でより安価なサービスを提供したいというもの。「巨大IT叩き」の効果もあって、消費者(市民)の拍手を得られる政策と行政機関が考えたようだ。

 

 ただこの(行政機関OBでもある)ヘビーユーザーの意見は違う。Appleが厳密なアプリ開発企業やアプリ自身のチェックをしているので、iPhoneの環境が安全に保たれているという。手数料にはこのチェック料が含まれているので、Appleが優越的地位の乱用で不当な利益を得ているわけではない。もし他のアプリストアの参入を許せば、粗製乱造アプリが混じってきて、

 

・悪アプリが良アプリを駆逐する

iPhone環境全体が危機にさらされる

 

 との危惧だ。消費者がこの点を考えて選ぶ(*1)からいいとの考え方もあるが、セキュリティに関する知識が一般消費者は充分ではない。そこをAppleが替わって守っているのだから、消費者は気にせずに済む方がいいと彼は言う。

 

 本件、Appleからの正式な反論は寡聞にして知りません。この闘い、Appleを応援したいと思います。

 

*1:自己責任でテイクリスク

QRコード決裁の巨人

 スマホ決済が、急激に伸びているらしい。その中でも、巨人と言われるのが「PayPay」。最初は派手な宣伝ばかりが目についたのだが、家内ともどもガラケーを簡単スマホに替えた時、デフォルトで付いてきた。

 

 最初は僕が、Book-offでの支払いなどに使っていた。それがビックカメラオンラインで使い、先日は家内が自転車通販で利用した。リアル店舗の利用では、交通系ICカードよりもポイント分くらい得だが、例えばイオン系店舗だと流通系ICカードでもポイントは付く。しかし通販だと、便利だなとは思った。

 

 最近トレンド入りしているのが「#PayPay改悪」。理由を聞くと、

 

・8月からPayPayカード以外のクレジットが使えなくなる

・携帯料金支払い等との「まとめ払い」手数料増

 

 にユーザが怒っているという。

 

        

 

 要するにクレカの自社囲い込みなのだが、通常はOpen戦略で利用機会を増やすところ、逆の行動に出たのはQRコード決裁で巨人になったから。ある記事では「回収の時期に入った」とある。

 

 中国ほどではないが、日本のキャッシュレス決済もかなり普及していて、流通はじめ多くの業界ではスタンダードになりつつある。いまだに現金を求めるのは、行政系くらいだろうか。

 

 ただ、キャッシュレスもいろいろで、クレカ・ICカードスマホなど各々の間では競争が激化している。先日<MaxValue咲見町店>で気付いたら、レジ前に「PayPay✕」と大書してあった。理由は聞かなかったが、流通系の「QRコード排除」が先にあったのかもしれない。

 

 巨人PayPayの行方に注目するが、国際的にみるとスタンダードとは言えない。欧米諸国ではタッチ機能付きクレジットカードが主流と聞く。「COVID-19」禍が一応治まり、国際人流が復活している中で、キャッシュレス国際競争も盛んになるでしょうね。

渋谷の巨大IT企業を訪問し

 昨年末、誰もが知っている巨大IT企業の人が来日したランチ会合のことを紹介した。今回は、また別の巨大IT企業からの朝食会合のお誘いである。先方の条件は4名まで、通訳なしというもの。サイバーセキュリティの専門家として、知り合いの某大学教授と人材育成団体の女性経営者に声をかけることにした。

 

 その企業は3年ほど前に渋谷にオフィスを移していた。僕がそこを訪問するのは、全く初めて。渋谷という街の変貌が激しくて、たどり着くのが大変なほどだ。定刻になんとか3人揃って行くと、案内されたのは高層階のその企業の専用レストラン。

 

        

 

 来日した幹部は脅威分析の専門家、割合小柄なオーストラリア人である。日本に着いたばかりだが、時差ボケがないから日本は大好きだと屈託なく笑う。ただ話の内容はかなりシリアスなもの。

 

・多くの攻撃を受ける(宿命の)企業として、セキュリティ対策は欠かせない

・国を背景にした攻撃、ネット上での情報操作、サイバー犯罪の全てに対応要

・高度な攻撃力をもつ国も増加、攻撃手法も洗練されてきている

ウクライナ紛争がいい例だが、サイバー攻撃は近代戦の一部となっている

・2022年には、日本のユーザーに2.5万件以上の警告を出した

・日本向けの高度な攻撃の8割は、中国と北朝鮮からのもの

・主として攻撃されている国は、米国・ミャンマー・フィリピン・韓国・リトアニア

 

 だという。

 

    

 

 大学教授からは、学会として国際的な連携をしている例や、政府の審議会での活動などを、女性経営者からは国際的な人材育成連携やジェンダーGAPを埋める取組を紹介してもらった。僕からは地域の中小企業やサプライチェーンのリスク対策、現状課題や業界団体の取組を説明した。

 

 綺麗にまとめられた和洋折衷の朝食弁当をいただきながら、英語脳を振り絞っての会合となりました。この幹部は今後も日本には足を運びたいと言ってくれました。今度はもっと大勢の人の前でプレゼンをして欲しいですね。ありがとうございました。