Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日本学術会議なんか要らない

 日本学術会議を巡る報道が増えている。先日は任命されなかった6名を改めて任命せよとの要求を、14万人あまりの署名をもって政府に届けるシーンがTVニュースで流れた。しかしこの機関って一体何なんだろうと、思う人は多くなったはずだ。これまでは、この組織のことが一般には知られていなかった。それが、報道されるようになって、以下の事は僕にも分かった。

 

・政府機関なのにこの10年、表立ったアウトプットはない。

・年間10憶円余りの税金が投入されている。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64910530S0A011C2PP8000/

 

 自民党のルール形成議連の甘利会長が、日経のインタビューに応えた記事が、僕には衝撃的だった。「学術会議、政府からは独立を」というのがタイトルだが、読んだ僕は「独立じゃなくて廃止を!」と叫んでしまった。シンクタンクとしての活動を期待されているとあるが、上記のように10年余アウトプットがない。慎重な甘利先生は「期待に応えているか自問してほしい」というに留めているが・・・。

 

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 最も衝撃的だったのは、安全保障に関わる話。

 

・日本の防衛技術研究には参加しない。

・中国など海外の軍事技術につながる研究は制御していない。

 

 一体、どこの国の研究機関かと呆れてしまう。ここでも甘利先生はマイルドに表現しているが、僕に言わせれば、

 

・日本の防衛技術研究は制御する。

・中国の軍事技術研究には協力する。

 

 ということではないか。現に僕自身、少なくとも2度サイバーセキュリティ研究で「制御」された記憶がある。こんな機関が必要なのかどうか、行革の検討に乗せてもらうのは当然として、国益に反する行為がなかったか検証する必要すらあるだろう。

 

 以前からキナ臭い噂はあったのだが、権威が高いので正面切って闘う人がいなかったように思う。今回の「6名任命せず騒ぎ」は、ひょっとすると周到に計画されたものかもしれない。任命されなかった学者や学術会議は怒り、野党やメディアが騒ぎ始めると市民の注目が集まる。そこで、この組織実はこんなものよと暴露する・・・。そんなシナリオが見え隠れする。

 

 国際情勢が本当に危険なレベルに近づいていて、台湾海峡尖閣周辺で不穏な動きがあります。一朝ことあるとき、日本国内の世論を混乱させるようなことだけはなさらないよう、学術会議の皆さんにお願いします。

個人情報保護法「2,000個問題」

 個人情報保護法が現在の形に落ち着いたのは、おおむね5~6年前。多くは政府からの出向者だが「第三者委員会」の位置づけで「個人情報保護委員会PPC)」という機関ができて、全体を統括し始めてからだ。PPCの立ち上げ期には財務省から中心となる人たちが来ていて、僕も事実上初めて財務省の人たちと話し合う機会を持てた。結論を言うと、柔軟で頭の切れる人たち。

 

 デジタル分野の「垢」がついていないせいか、話が通じやすかったことを記憶している。ただこれにはやっかみもあって、某デジタル関係の省の審議官は「財務省であんないい加減な人、見たことない」と舌打ちしていた。財務省の人にはいつも予算査定でいじめられていて、その時の頭の固さが記憶にあったのではないかと推察する。

 

 結果としてはPPCは順調に船出をし、欧州委員会GDPRとの連携も上手く取りまとめ、日欧EPAにこぎつけるという成果を挙げた。その時代の人たちは、もう財務省に帰ったか退官したのだろう。最近は見かけることもなくなった。今年は「仮名加工情報」という新ジャンルが法律に盛り込まれるなどの改正が進行中、それはいいのだがPPC発足当初から残っている問題もある。それが「2,000個問題」。

 

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 現在自治体の数は1,700ほど、これに独立行政法人などの団体を加えておおむね2,000の個人情報を扱う団体があって、それらが少しずつ違った条例で運営されている。これは複数の自治体をまたがって個人情報を活用などしようとする人たちには大きな悩みで、自治体同士でも転居等で連携が発生した時に困るはずだと(民間は)思っていた。だから国で一括してこれらの条例を整理してくれと請願するのだが、自治体を守る立場の学者さんやメディアから猛抗議を受けた。曰く、

 

 「国がそんなことするのは、国と地方が同格だと定めた憲法に違反する。お前たちは憲法違反の提案をしているのだ」

 

 僕たちは、ただ市民の個人情報の扱いを全国統一したいだけ、自治体同士で話し合ってもらってもいいが時間がかかる(収拾がつかない)だろうから国の関与を求めたに過ぎない。その場は引き下がったのだが、今回その動きが出たことを報道で知った。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64910180S0A011C2EE8000/

 

 基本は国で定めることが始まろうとしているのは、朗報でしたよ。

あくとり3年、酌8年

 僕が社会人になった40年ほど前、まだ高度成長期の甘い余韻が漂っていて、その上もうじきバブルが来ようかという頃だった。今にして思うとコンプライアンス上どうかと感じるのだが、大きな会社ゆえに他の事業所の人や本社の人がやってくると、食事を出す、お酒も出すというのが当たり前だった。

 
 僕は会社の中で、転職こそしていないが多くの種類の仕事に就いた。一時期、ある田舎の事業所の外交部門にいたことがある。外交と言っても社内の他事業所との調整や標準化、共同企画などをする部署である。当然東京に来ることも多くそこでご馳走になったりするものだから、田舎まで足を運んでもらった時には逆にご馳走することもある。

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 それゆえこの部門はお酒が呑めないと辛いし、上司/先輩から酒席の教育も受けることになる。僕は学生時代から親父と酒を呑むことが多く、親父の会社の人たちと呑むこともあったのでそこそこ酒席の礼儀は心得ていた。それでも、この職場はある意味「接待のセミプロ」である。いろいろ教えられたことがある。
 
 僕らはそういう礼儀のことを、「あくとり3年、酌8年、太鼓を持つまで13年」と自虐的に言っていた。冬は鍋物が多くなる。「あくもダシのうち」という思い切りもあるのだが、お客様相手ではあくは取り除くのが望ましい。これが出来るようになるのに3年研鑽を積む必要があると言う事。日本酒が中心だったので、お酌のノウハウも必要だ。相手が猪口を二度目に持ったら、お酌をするタイミング。手首の角度にもうるさい人もいる。これをこなせるのは、8年ほどかかるらしい。
 
 最後の「太鼓持ち」に成れた人をあまり知らないが、僕自身も12年はこの部署にいなかった。まあそれがよかったかどうかは、神のみぞ知るということです。

偏在する「Go To Travel」

 先月の函館旅行では、滑り込みで「Go To Travel」の割引を受けることができた。浮いたお金はなるべく現地に落としてこようと、それまでは買ったことのない「イクラ1パック」など、自由市場での買い物を増やしたし、奥尻産のワインを呑んだ。

  

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/09/25/060000

 

 この対象に東京発着も入ったことから、今度は東京旅行をしようかと考えた。何年か前、大手町の「アスコット東京」に1泊したことがあって、その最高の立地(皇居を見下ろせる)や設備(豪華なキッチン)に感服していた。まあ、お値段も香港のコンドミニアム並みだったが。

 

 そこでBooking.comで東京中心部を検索すると、残念ながら「アスコット東京」はこの割引対象でないことが分かった。それだけではなく、別のコンドミニアムホテルを探しても、対象物件は見つからなかった。当家の場合、旅行はキッチン付きのコンドミニアムで「暮らすように」するのが優先なので、今回はあきらめることにした。逆にこのキャンペーンが終わってから、ゆっくり考えることにする。

 

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 キャンペーンはいつまで続くのかなと調べていたら、インターネット予約サイトで条件の変更が相次いでいるとの記事を見つけた。

 

https://travelersnavi.com/coupon/goto-jyogen

 

 これらのサイトでは、そろそろ予定した割引金額上限が迫っているからと推測される。しかし一方で、政府の側では予算消化状況は想定をかなり下回っている。7月中旬から9月中旬までの実績は、735憶円。予算全体では1兆1,500億円もあるし、1ヵ月で1,000~2,000憶円ほど使うはずだったのに・・・である。

 

 「Go To Travel」を個人で使おうとする旅慣れた人は、やはり予約サイトを使うだろうにもかかわらず、予約サイトへの割り当ては少なかったのではないかと思う。以前大手旅行社のカタログを見て割高感を持ったので、旅行社経由の「Go To Travel」をあきらめたことも報告しているが、やはりこの政策は大手旅行社を中心に展開するものだったらしい。予算金額の配分が現実離れしていることが、はっきりしました。この偏在、早く治してもらわないと経済復興の目論見にも影を落としますよ。

おもちゃたちのパレード

 朝鮮労働党創建75周年記念の軍事パレードが、かの国で行われた。なぜか未明の時間帯に、ライトアップして兵士・兵器が行進した。上空からドローンによると思われる映像も流れて、どの大国の軍事パレードかと思わせるシーンもあった。いくら75周年とはいえ、経済制裁もあり、「COVID-19」で自ら国境を封鎖し、この夏3つの台風に直撃されている。そんな経済状況で10種類もの新兵器を並べて見せたのには、正直驚いた。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20201011-00202500/

 

 この「軍事ブロガー」を名乗る人の視点や分析には、僕は一目置いている。今回も10種の新兵器についてのコメントを、興味を持って読ませてもらった。TVニュースでは、最大級の大きさの大陸間弾道弾や潜水艦発射弾道ミサイルくらいしか紹介してもらえなかったが、その他の兵器も大変面白いものである。というのは、この兵器何のために開発したのか聞きたいものが混じっているからだ。もっというと、党委員長は「戦争抑止力を強化し続ける」というのだが、一体どんな戦争を想定しているのだろうか。

 

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 地対艦ミサイルや、地対空ミサイルの発射機はまだわかる。仮想敵の米軍は制海権や制空権を最初に抑えてくるから、その対抗策だろう。しかしM1エイブラムズ戦車もどきやストライカー装甲車もどきについては、何に使うつもりなのだろう。これらは広い陸上で、歩兵を含めて土地の占領を目指す時に使うもの。北朝鮮にこれらの陸上戦力を海輸してどこかの土地(例:北海道)を奪うには、輸送能力が足りない。

 

 すると38度線を越えて南進するか、鴨緑江を渡って中国に侵攻するかくらいだが、前者はひたすら恭順の体だし、後者はほぼ唯一の後ろ盾だ。ロシアについても同じこと。あるいは南朝鮮や米軍が、38度線を越えて北進してきたときの防御戦闘だが、そんな事態は起きそうもない。核・ミサイル開発は自国の存在を国際社会に認めさせるためのもの、それが完成した暁には100万人もいる正規軍を軍縮して生産労働力にしなくてはいけないはず。それにはこれらおもちゃのような新兵器は無用の長物だと、僕は思うのだが。

 

 公式数値ではかの国のGDPは1兆8,000億円ほど、だいたい鳥取県くらいの規模です。核とともに10種ものおもちゃ兵器を作っている余裕はないと思うのですが。