Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

男の価値、女の価値

 今となってはこんなことは言えないのだが、昔ある料理本にこんなキャッチコピーが載っていた。

 
 「男の価値は本棚で決まる。女の価値はスパイス棚で決まる」
 
 確かカレーの本だったと思う。一人暮らしだったころ、カレーは僕の好物でもあるし買って読んでいた。「CoCo壱番屋」もいいのだが自分でも作ってみようと思い、別のコピー「いざという時でも、ルーを使わないカレー」に惹かれたのが買った理由。結局本に載っているカレーを自ら作ることは無かったのだが、いろいろ勉強にはなった。
 
 カレーはスパイスの集大成のような料理だと書いてあって、それからスパイスというものについて興味を持てた。何しろ男の一人暮らし大したことはできない。近所のスーパーマーケットでナツメグ・シナモンなどという小瓶を買ってきて並べるくらいのものだ。でも炒め物やスープに一振り、などということはやっていた。

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 写真はウィーン、ナッシュマルクト(うまいもの市場)のスパイスショップ。この手の店は市場中にたくさんある。僕にはラベルは読めないが、量には圧倒された。こういうところで仕入れたら、立派なスパイス棚になるだろう。ハプスブルグ家の末裔であるウィーンの奥様族は、今でもスパイス棚で自らの価値を確認しているのかもしれない。
 
 もちろん、ただスパイスをたくさん持っていればいいというものではない。気候や食事をする人の嗜好・体調などを考え、手に入る食材の質や量から考えてメニューを組み立てる。その時の決め手がスパイスというわけ。だから非常に広範囲な知識が必要だ。その象徴が「スパイス棚」というわけ。
 
 翻って男の方、こちらは政治・経済・国際情勢・ビジネス感覚・技術などやはり広範な知識がないと社会で一流にはなれない。そういう意味の「本棚」である。え?僕の価値だって?戦争物やミステリーばかりの本棚ですから、たかが知れていますよ。これをご覧いただければわかります。
 

雨の東京ミッドタウン

 先週とうとう県境をまたがる移動も解禁になり、僕がオフィスへ向かうのに2つの県境を越えるのも後ろめたいことはなくなった。その前からぼちぼちウェビナーなどの収録で出かけることはあったのだが、今日は「生放送」である。ある外資系企業が全国の代理店を集めて行う半年に一度のイベント、今回はオンライン開催なのだが講演させてもらう僕はその会社さんのオフィスがある東京ミッドタウンに出かけることになった。

 

 今日は西日本から激しい雨をもたらす雲が迫っていて、朝から熱海は大雨だ。新横浜駅を過ぎるころには雨は止んで、東京駅も霧雨程度。それはいいのだが、東京駅の人込みは昨今見たことがないほど多い。「解禁」もいいが込み合ってくるのも気に入らない。オフィスで少々準備をして、東京メトロで六本木に向かった。ここも霧雨。

 

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 これからお話をするという時は、あまり食欲はわかない。六本木で食べようかなとも思ったのだが結局お昼抜きのまま会場へ入った。近くにある「六本木ヒルズ」と違って「東京ミッドタウン」の中央タワーはただ広壮なだけの普通の外観をしている。1階で貰っていたコードを端末に入力するとQRコードを印刷したカードが出てきた。これで目的のフロアまで行くことができる。「接触」をさける省力化と衛生を両立できる仕掛けだ。

 

 主催企業の社長さんに挨拶をして出番までオンライン会議を見ていた。時間が来て案内されたところは小講堂をスタジオに仕立てたような部屋。目の前に観客がいないというのにも最近慣れてきて、それなりにお話しできた。Q&A含めて1時間はあっという間に終わった。

 

 1階に戻ってくると雨が激しくなっていた。時間も予定より遅くなっていたのでショッピングはあきらめて帰ることにした。しかし急におなかがすいてきたので、どこかで食べようと八重洲地下街にやってきた。ここも帰宅時間ということで人出が多い。お酒を出す店は結構「繁盛」して、酔客の声が店の外まで聞こえてくる。

 

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 なるべく空いている店ということで、選んだのは吉野家。カウンターだけの店だが、急造のついたてを立てている。客は2人だけ。注文したのはこの時期のメニュー「麦とろ牛皿定食」。オクラに昨年はシラスが混ざっていたはずだが・・・とけちなことを思いながらも美味しくいただいた。さあ、ちょっと待てば空いているはずの三島止まりこだま号に乗れそうです。そのくらい気を付けないとね。

運転免許証とマイナンバーカード

 「COVID-19」騒ぎでデジタル活用が必要だというのは、多くの人に認識してもらえたと思う。一方で一番デジタル活用が遅れているのは、行政部門だというのも明らかになった。特別定額給付金の申請については、デジタル申請の方が書面申請より遅くなるという異常事態もおきた。

 

 デジタル申請にはマイナンバーカードとカード読み取り機、さらに電子証明書やそれ用のパスワードも必要で、カードを持っていたとしても容易に申請完結とはいかなかった。これまではこのシステム、事実上税制関係でしか使われていなかった。毎年確定申告をするような人ならカードでのデジタル申告のメリットはあり、慣れているからパスワードも覚えていただろう。滅多に使わないサイトのパスワードをしっかり覚えているという人は珍しいと思うから。

 

 メディアはカードの普及率(約17%)が低いことを取り上げるが、それよりも「何に使えるかが少ない」ことを追求すべきだと思う。住民基本台帳カード導入でひと騒動あったとき、メリットを聞かれた当時の片山総務大臣は、「全国どこでも住民票が手に入れられる」と胸を張った。正直「それだけかよ」と思った人が多かったのではないか。

 

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 その後も番号制度の議論は続き、近年「マイナンバーカード普及には何が必要ですか?」と聞かれることも多かった。表立っては「カードで利用できるアプリケーションの増加が必要です。今回健康保険証アプリ導入の話があり期待しています」などとしおらしく答えた。しかし顔見知りだけの場では「運転免許証だよ。免許証と合体させれば一気に増える」と答えていた。

 

 なぜこれを表でいえなかったかというと(僕が臆病だったのはさておき)運転免許証発行業務が警察関係の利権だったから。運転免許試験場などと並んで、警察OBの多い組織だった。これがマイナンバーカードに統合されれば、カード発行は総務省系が発注することになる。当該組織の役割は、免許証関連データをマイナンバーカード発行団体に送るだけになってしまう。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60667160T20C20A6MM0000/

 

 ところが菅官房長官が「マイナンバー制度を抜本的に改善」と運転免許証機能統合も言及したのだ。わ、ようやくそこに来てくれましたか。運転免許は全市民の75%ほどがもっています。普及拡大に向け、一歩前進ですね。

辺野古基地の工事再開

 沖縄県議会議員選挙が終わった。結果は、玉城知事の与党勢力が過半数を得て勝利した・・・のだが知事に笑顔はない。勝ったとはいえその議席差はわずかに2、一人が野党に転じれば同数になってしまう僅差である。

 

 沖縄県では「COVID-19」感染の直接的な被害は大きくなかった。しかし主要産業の観光は大打撃を受けて、間接被害は計り知れない。安倍政権の各種支援も「遅い」と野党から突き上げられるように、ここ沖縄でも評判は悪い。にもかかわらず、どうしてこんな結果になったのか。

 

 推測するに「COVID-19」騒ぎが収まるのにも時間がかかるし、その後もインバウンド需要の回復にはもっともっと時間がかかる、その間の経済を支えるには、今まで以上に中央政府に頼らざるを得ないという雰囲気があったのではないだろうか。それには、中央政府と対立関係にある知事・与党では難しいとの判断だろう。

 

 ただ普天間をはじめとする基地問題の解決のメドは、また遠くなった。米軍はドイツ駐留の兵士を減らしたり、海兵隊を中東から太平洋地域に移そうとしている。場合によっては、朝鮮半島からも退くかもしれない。その兵力はどこに行くのだろう・・・。

 

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 沖縄は台湾と並んで、米中対立の最前線としてその重要度はさらに高まっている。それもあって難航している辺野古の基地拡張工事は、選挙が終わるのを待って再開された。ただ沖縄タイムズがいうほど、反対運動は激しくない。

 

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/584723

 

 基地問題は確かに重要課題だが、それ以前に目の前の経済問題の方が市民にとって重要なのだろう。中国本土からのインバウンド需要は、中長期的にも望めない。それに代わるものとしては、より知的な産業だと僕は思う。昨年訪問した沖縄科学技術大学院大学は、世界的にも有力な教育・研究機関に育った。

 

 これに加えて香港から流れ出てくる有能な人材を受け入れ、日本本土からも少し距離を置いた知的産業集積地域になってくれないかと思う。米軍基地を置かれているのではなく傭兵を雇っているのだ、くらいの発想をしてくれればと思います。 

米軍の5G戦略(後編)

 今月初め、米軍が広報したところによると、新しく7カ所の基地で5Gの技術テスト・実験を行うことにしたらしい。寡聞にして知らなかったが、昨年から米軍は5Gの実証実験を5カ所の基地で始めていた。これらを「Tranche1」と総称していて、

 

ワシントン州の Joint Base Lewis-McChord

ユタ州の Hill Air Force Base

カリフォルニア州の Naval Base San Diego

ジョージア州の Marine Corps Logistics Base Albany

ネバダ州の Nellis Air Force Base

 

 

 で実験がスタートしている。陸軍・海軍・空軍・海兵隊と、すべての主要な組織で行われている。今回追加になった7基地は「Tranche2」と区分されていて、

 

ノーフォーク海軍基地

 艦船と桟橋等の接続、荷揚げ・荷下ろしのデジタル管理だろう。

パールハーバーのヒッカム空軍基地

 航空機の発進準備、兵装・補給などの管理とフライト関連情報の共有かな。

サンアントニオ共同基地

 メンテナンスとトレーニングの支援、シミュレータを使った拡張現実教育プログラムだろう。複数の遠隔地との通信、セキュリティを組み込んだネットワーク運用テストに思われる。

 

 のほか、前線と戦術指揮所の通信実験や、周波数共有など純粋技術的な実験も盛り込まれていた。

 

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 発表資料だけで判断するのは難しいが、ぼんやり想定アプリケーションの実像が見えてきた。シミュレーターのような教育設備は、リアリティが増すので5Gが好適だ。これにはドローンや戦闘ロボットの操縦というような用途も含まれるだろう。

 

 目立つのは兵站関係、軍艦も軍用機も大量の補給を必要とする。自身が発するもしくは必要とするデータ量も大きい。IoT技術は前線兵士の小銃の残り弾数まで計測、通信可能だ。これらの補給を、状況把握~計画~(桟橋等への)輸送~補給と保守の流れで自動化することを、米軍は狙っているように思う。どこの軍隊でも補給物資の横流しは、決して無くならない。その防止にも役に立つだろう。

 

 あとこの記事からは読み取れなかったが、高解像度の画像による各種のトレーサビリティも向上させることができる。さて、この仮説を裏付ける(か裏切る)レポートはいつ頃公開されますかね?