Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

キャピトル東急の早朝会合

 G20を目前にして慌ただしさを増している国会周辺であるが、G20の準備に忙しいわけではない。準備は官僚たちのお仕事、国会議員としては通常国会終了後の選挙準備に余念がないのである。衆議院の場合も小選挙区になったとはいえ、地元の消費者中心の選挙キャンペーンだけではなく、産業界をいかに巻き込むかは重要だ。

 

 かつての55年体制のように、「企業経営側=与党、労働組合側=野党」という分かりやす構造ではなくなったが、例えば選挙区に企業誘致すれば雇用を増やすことができる。直接的に誘致などにつながらなくても、日ごろから企業との接点を増やすことを心掛けている国会議員は少なくない。

 

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 今日も、そんな国会議員を囲む早朝からの会合に参加した。この日のテーマは昨今公表された自民党の提言、「デジタル・ニッポン2019」の内容である。もちろんWebで誰でも見ることができるのだが、とりまとめた当の議員の口から直接説明されれば、どこに力点があって、どこに悩みがあるのかも分かろうというもの。また提言の実現に向けてどうしていけばいいかとの議論もできる。電子政府自治体のようなものを除けば、提言内容実現の主役は産業界である。政界・官界にできるのは、目標を示しその支援(財政補助など)をすることだけだ。

 

 そこで問題は、朝早すぎること。730開始と言われると始発列車に乗っても間に合わない。国会会期中だし議員先生の都合を考えれば仕方がないと、前泊することにした。場所は議員会館の隣のキャピトル東急だが、ここはちとお高い。そこで隣にあるAPAホテルに泊まることにした。

 

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 コストパフォーマンスがいいのがこのチェーンの売り、僕も会員カードを持っている。チェックインから支払い、ルームキーカード発行まで自動機でできる。部屋は手狭ではあるが効率的な造りで清潔だ。徹底的に省力化して、部屋のグレードを下げないでコスト削減しているのがわかる。

 

 上の写真はAPA、下の写真がキャピトル東急のオブジェ。遜色ないでしょ。疲れは取れたので、これから会合に行ってきますよ。

朝鮮戦争 Veterans Memorial

 ワシントンDCのダレス国際空港に、青い日系航空会社のNH002便は1000くらいに着陸する。午前中なのでイミグレーションは混んでいない。ただ以前あったESTAの自動機が(トランプ経費カットのせいか)なくなってしまい、入国審査の効率は悪くなった。それでも、バスと地下鉄を乗り継いで長い道のりなのだが昼すぎくらいにはホテルに着く。チェックインは1500になっているが、今回は1330に入れることを確認して荷物を預けて街に出た。

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 「Foggy Bottom」と称される国務省ビルからさらに南、ポトマック川方面に行くと広大な緑地帯が広がっている。ホワイトハウスの真南にあるワシントン記念塔が一番目立つ建物だが、その西には長いプールを経てリンカーン記念館につながっている。その一角に、多くの立像と記念碑があるエリアがある。これが、朝鮮戦争 Veterans Memorialである。
 
 1950年から3年あまり戦われた半島での戦争であるが、北朝鮮軍+中国軍と米軍を中心とした国連軍が戦ったものである。1953年7月に両軍が休戦協定に調印するまで、
 
 ・北朝鮮軍 約80万人
 ・中国軍 130万人以上
 ・米軍 約48万人
 ・韓国軍 約59万人
 
 らがこの狭い半島で戦った。米軍だけでも4万人以上の死者を出した、米国にとってはベトナム戦争(死者5万人ほど)に匹敵する闘いだった。それゆえ、この緑地帯には朝鮮戦争戦没者のメモリアルも別にある。

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 朝鮮戦争は、第二次世界大戦の装備を中心に戦われた最後の戦争である。もちろん米軍のジェット戦闘機が登場するなど新しい戦力はあったが、北朝鮮の戦車はT-34やSU-100、米軍はM4シャーマンだった。個人用火器もこの先頭に立像はBAR1918を持っている。TVドラマ「Combat」でカービーさんが撃ちまくっていたあれ。第一次世界大戦からの火器である。
 
 重そうなポンチョを着て、M1ガーランド(これも重い)やM2カービンに無線機を持ったり、機関銃を分解して運ぶ兵隊の像が印象的だった。このシーンは寒い雨の中を行軍するもので、歩兵の仕事は歩くことというのが理解できます。

禁酒日のディナー(日高屋)

 金曜日の夕方、青山一丁目の雑居ビルで会議をした。古いビルで、小規模ベンチャーがたくさん入居しているらしい。小さな会議室で、6人しか座れないのだが今日の会議にはちょうどいいサイズ。窓からは、六本木ヒルズ東京ミッドタウンも見ることができる。ちょっとしたヒルズ族気分・・・というわけにはなかなかいかないが。

 
 6時過ぎに会議は終わり、僕は東京メトロ銀座線で帰ることにした。渋谷行きも浅草行きも結構混んでいる。会議で一緒だった虎ノ門にオフィスを持っている人が、「最近、働き方改革のせいか、この時間混むのですよ」という。逆に終電間際など、ガラガラらしい。
 
 若いころ結構遅くまで仕事をしていた(長い時間会社にいたという方が正しいか)が、早く帰宅するのは正しいと思っていた。くだらない会議や意味のない書類手続きなどが無くなれば、早々に帰れるのに・・・。それが「働き方改革」でできるようになったのだからいいことだと思ったら、その余波がいろいろあるらしい。
 
 会社は出るのだが、遅く帰るのが習慣になっていてどこかで暇つぶしをする可哀そうなお父さんたちの生態が紹介されている。これでは本末転倒である。その結果、恩恵を受けているのは「ちょい飲み屋」。腰を据えて飲んでは高くつくし、毎日というわけにはいかない。牛丼チェーンなど低価格の外食産業が、こういう需要に応えているわけだ。

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 かくいう僕も、今夜は禁酒日なので外食産業のお世話になるつもり。やってきたのは小田原駅前の「日高屋」。最近隣に「焼き鳥日高」を開業している。これも明らかにチョイ飲み需要。昔からの「日高屋」の方でも、ビールや日本酒を飲んでいる客は多い。彼ら/彼女らを横目に、頼んだのは「生姜焼き定食」(700円)。キャベツのほかザーサイとマカロニサラダが付いてきた。たっぷりのマヨネーズが特徴的である。
 
 先週「吉野家」でも「生姜焼き」を食べたのだが、こちらの方が肉の盛りが多いようだし、お味の方は大差ない。ただ肉の切り方にバラツキが大きく、大きな塊もあって食べにくかった。まあ、僕はお酒も飲んでくれない「その他客」ですから仕方ないのですがね。

F-35を墜とすには(後編)

 F-35は米軍/米国の軍事技術の結晶であり象徴のようなものだから些細な傷でも気になるし、相手方にしてみれば気になることをやってみようということなのだろう。だからシリア上空の事件は、アサド政権なりそのバックにいるロシアなりの流したミスデレクションの公算が高い。とはいえまだ十分に飛行実績を積んでいない段階でもあり、いろいろな運用条件下での完熟飛行をF-35はする必要がある。
 
 今年の青森沖墜落事件以前にも、実は海兵隊向けのF-35Bが1機墜落していた。この時パイロットは緊急脱出して無事だったのだが、米軍はしばらく同型機を全面飛行禁止にした。その後、燃料パイプに問題があったが、その問題が解決したので飛行を再開すると発表している。僕はひょっとすると問題は燃料パイプではなく、F-35のソフトウェア面の欠陥(脆弱性)が見つかったのではないかと思った。
 

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 ハイテク戦闘機であるF-35はコンピュータの固まりのようなものだ。物理的にではなく電子的にバックドアがある部品が紛れ込んでいて、これを介して「ハック」されたかもしれないのだ。もしこのような脆弱性があるとすると、日本を含む上記の国の航空戦力は開戦早々半減・・・なんてこともあり得る。
 
 ある軍事専門家と話していて、恐れ多くもそんなことを言ってみた。かの方はしばらく黙っていてニヤリと笑い「面白い話ができそうだね」とだけ言って否定も肯定もしなかった。デジタル屋さんもそんな安全保障の世界に、ちょっとだけ足を踏み入れることになるかもしれませんね。

江戸・長崎禁止法

 故堺屋太一先生は、官僚であった過去も振り返り「江戸・長崎禁止法」というものを提唱しておられた。例えば官僚が所管産業に対して「暗黙の規制」を押し付けているか、あるいは産業測が「忖度」をして新しいトライアルができない状況を打破したいという思いだったようだ。

 

 例えば僕の知っている範囲でも、30年以上前から「デビット・カード」のニーズはあった。当時これが認められた時に、「キャッシュアウト」が可能かという議論になった。1,000円の買い物をして銀行カードを出し1,000円分引き落としてもらうなら普通。10,000円引き落としてもらって9,000円は現金で「お釣り」をもらうというのがキャッシュアウトと呼ばれる方法。これができれば財布の現金が不足しても、消費者はいちいちATMを探さなくてもいい。

 

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 ところが当時デビット・カードを推進していた人によると、某官庁から「キャッシュアウトはしませんよね」と念を押されたという。これが「暗黙の規制」ないし「忖度」の形で誰かが判断し、この人に伝えていたのではないか?キャッシュアウトを禁止する文言は、僕は見ていないのでそう思ったわけだ。

 

 この真偽はともかく、霞ヶ関の思いを外れた何かをすると「報復される」という意識が民間側には根強い。その行為を取り締まる手段がなくても、何らかの形で当該企業が困るようなことを押し付けてくるのではないかと疑うわけだ。堺屋先生は民間にとってのこのような脅威を、「江戸の仇を長崎で討つような行為」を明示的に禁止して取り除こうと法案を提唱されていた。

 

 霞ヶ関関係の人たち(含むOB)と割合深い交流をするようになって彼らの行動様式がわかってくると、そのようなあからさまな行為はしないように思うのだが、かつては僕もそんな「脅威」を感じていた。ある程度その必要性は感じながら、どうやってそれを立証するのだろうかと「挙証責任」のことを考えると実効性は難しいとも思う。

 

 こういう脅威は民間でもあるし、ケイレツなどだったらもっと露骨にあったろうと思う。まあ、そういうことはしないというリテラシーをもってもらうこと、教育が一番の薬でしょうね。