Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

政府機関のクラウド利用(前編)

 自前で全てのITシステムを整備するのは、非効率であることはもちろんだが、徐々に難しくなっていることは確かだ。世の中には様々なクラウドサービスが普及していて、普通にPCを使ってブログなど書いている僕だって、バックグラウンドで<One Drive>というクラウドを使っているのだから。

 

 「デジタル庁」が出来たからというわけではなく、政府機関が使うITシステムもクラウド化が急がれている。ただ各機関・部署が勝手にあまたあるクラウドサービスを調達し始めたら、それ自体非効率だし将来連携・統合を図るときの妨げになる。何よりそれらのサービスについては、セキュリティ対策も使用する際の注意事項も違っている点が問題視されている。

 

 そこで政府は、2017年の「デジタルガバメント推進方針」(IT戦略本部)を皮切りに、クラウド利用のガイドを定め、公表している。その考え方は「クラウド・バイ・デフォルト原則」。今回、ある会合で政府関係者がこれについて語ってくれたので、勉強することができた。その原則とは、

 

    

 

・情報システムは、クラウド利用を第一候補とする

・単にクラウドを使うのではなく、これをスマートに使う

・スマート利用にはアプリのモダン化が必要

・新規システムには当初から、既存システムについては移行タイミングでモダン化する

 

 というもの。「スマート」とか「モダン化」とか、デジタルらしくない情緒的な言葉が使われているが、なんとなくイメージはつかめる。垂直統合型の硬直システムではなく、機能をきちんと切り出して、水平分業システムに容易に位置付けられるものということだろう。

 

 ただ巷間には種々のクラウドサービスが溢れ、新規参入も多く、政府関係機関がどういう基準でそれを選択するかは、ある程度統一しておく必要がある。

 

<続く>