Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ヴァチカン市国と教皇の護衛兵

 滞在中、全く雨には遭わなかった。それはいいのだが、最高気温36度以上の日があったし、暑さにはやや閉口した。ローマの街中は東京よりずっと緑が多いのだが、それでも「広場」という名所に行くと日差しに温められた石畳しか周りにない状況に置かれる。でも今日は、あえて一番広い「広場」に行ってみようと思う。

 

 テルミニ駅地下から地下鉄A線に乗る。次のレプブリック駅とその次のバルベリーニ駅は閉鎖中、すぐにスパーニャ駅(スペイン広場)に着いてしまう。そこから3駅、テヴェレ川を渡り(渡る時だけ線路は地上に出る)、オッタビアーノ駅で下車。下車する人が多く一緒に南へ向かって歩くのは、大半が観光客。目的地は世界で一番小さな国、ヴァチカンである。

 

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 サン・ピエトロ広場まで日傘やペットボトル、観光バスチケットを売る人たちをかきわけて、石畳の道を約15分くらい歩いた。観光客の群れの頭越しに、何本かの円柱の向こうに広場が見えてきた。楕円形のこの広場、長径約240mという大きさで30万人を収容できるとある。カトリックの総本山であるサン・ピエトロ大聖堂の方向に長蛇の列ができていて、不遜ながらディズニーランドを思い出してしまった。

 

 (異教徒故)別に大聖堂に入ろうとは思わないので、少しでも建物に近づこうと別の道を探した。途中、立派な石造の前に大きなスクリーンモニター(パナソニック製)があるのを見つけた。石造にとっては迷惑だろうし写真マニアには邪魔ものだが、30万人に教皇の姿など見せるには必要なのかもしれない。皆がスマホ持って集まってくる時代になれば不要になるだろうか?

 

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 大聖堂の南の端は封鎖されていたのだが、そこにお目当てのものを見つけた。カラフルな衣装を着けた教皇の護衛兵である。イタリアに位置するヴァチカンではあるが、教皇の護衛兵は15世紀ころからスイス傭兵が歴代努めている。山岳国家で輸出産品の少ないスイスは、代表的な傭兵産出国なのだ。

 

 1527年、神聖ローマ帝国が侵攻してきた「ローマ略奪事件」当時、圧倒的な侵攻軍を前に189名のスイス傭兵は防衛戦を展開した。147名が戦死するという結果で文字通り全滅したのだが、教皇クレメンス7世を脱出させることには成功している。それ以来、教皇の護衛兵はスイス人である。

 

 世界中が騒がしくなってきていて、ヴァチカンの護衛兵も単なる儀仗兵ではいられない。30万人の聴衆の中にもテロリストが入ってくるかもしれないし、今ここでカメラを構えているぼんやりした東洋人がそうでない保証はない。遠目にも衛兵に緊張感が感じられたのは、そのせいかもしれません。