まず最初の課題は、弾丸の補給問題。前線に十分な補給ができるかという兵站もそうだが、機構的に連続して弾丸を薬室に送り込む仕組みが課題になる。機関銃の故障の最大のものは、ジャミング要するに詰まることだ。
最も初期のころには、板の上に弾丸を並べるようなこともした。これでは円滑な装弾は無理だ。筒型の弾倉を上から挿入して、弾丸の重力で落とし込むこともした。安定したのは、筒型・バナナ型・円筒型の弾倉からバネ仕掛けで弾丸供給できるようになってから。
ただし、これだとひとつの弾倉の装弾数は30~50発に留まる。そこで、ベルト型の給弾システムが考え出された。これだと300発以上が供給できる。
次の課題は、銃身の冷却問題。300発も立て続けに撃てば、銃身が熱くなる。熱でゆがんでくるだろうから、命中精度が落ちる。冷却方法は2つある。基本的には、LSIチップと同じで、水冷か空冷だ。水冷の方が冷却効率はいいが、銃そのものが重くなってしまう。トーチカに備え付ける固定機関銃ならまだいいが、歩兵分隊に随伴する軽機関銃はそうはいかない。必然的に空冷になるが、替え銃身を持って行って、いざとなれば交換する方法も考えられた。
最後の課題は、より効率的な保持。簡単に言えば、軽くて丈夫な土台をどうするかということ。きちんと固定されればされるほど、命中精度は増すからだ。そうはいっても土台があまり重くなっては、運搬や陣地変更に支障をきたす。
これらの課題に、ドイツ軍は「汎用機関銃」という考え方で応えた。MG-34やMG-42がそれである。今、Alter少佐が部下の分隊に、どの機関銃をもたせようか迷っている。左から、
◆軽機関銃 携行負荷1、火力3、射程8、(1ターンの)発射頻度1
◆中機関銃 携行負荷3、火力5、射程12、発射頻度2
◆重機関銃 携行負荷4、火力7、射程16、発射頻度3
携行負荷が3を超えると、分隊の移動速度が減る。例えば重機関銃(4PP)を装備すると、通常平地を4ヘクス移動できるところが3ヘクスに留まる。イラストを見てもわかるように、重くなるほど、替え銃身や三脚が充実してくる。ところで、実はこの3機関銃は同じものなのだ。オプションの替え銃身や三脚を付けると、軽機関銃が中・重機関銃に変貌するということ。
右端のコマは分解した中機関銃で、携行負荷が減っている。しかも、組み立てなくても軽機関銃としての機能は持っているのだ。前線では使えるものはなんでも使いたいし、多種多様なものがあると運用できない。シンプルで、それでいて多様に使えるという思想は見習うべきことかと思う。これは、後年の各種機器開発にもあてはまるだろう。