Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

1500円・1300円・1000円

 参議院議員選挙の各党公約が出そろってきて、どうも争点は「年金・最低賃金・消費税」のようだ。共産党は「減らない年金」を掲げて、与党の「マクロ経済スライド」を廃止するという。こと年金に関しては、国民年金だけでは生活に十分でないことは周知のこと。厚生年金が上乗せされても、さらに工夫がいるというのも良く言われていたことだ。政局になってしまったのでいたしかたないが、これを選挙の最大の争点(立憲民主党蓮舫議員)にするのはいかがかとも思う。

 

 次に最低賃金だが、共産党が全国一律1,500円、立憲民主党も全国一律1,300円、自民党が全国平均1,000円に引き上げと言っている。僕はここに一番の(意味のある)違いがあると思う。厚生労働省によると、現状では最低である鹿児島県の761円と最高である東京都の985円には、216円の差がある。(おおむね2018.10時点の調査による)

 

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 平均値は示されていないが、仮に860円とすると自民党案では16%のUPになる。全国一律としては共産党案では鹿児島県で97%、立憲民主党案では鹿児島県で71%のUPである。時間軸こそ示されていないが、果たして2倍近い賃上げが可能な事業者がどれほどいるだろうか?韓国文政権がこの2年間で約30%の最低賃金上げを実施した結果、多くの倒産・廃業・事業縮小を招き失業者を生み出したことを考えれば、自民党案ですら社会に混乱を招くことになりそうに思うのだが。

 

 ひどく意地悪な意見を言えば、僕のように長年デジタル経済拡大を働き掛けながら日本の商慣行やデジタル化を阻む規制に跳ね返されてきた者にとっては好機である。10人の従業員を半分にして、その分自動機等を入れてくれるならありがたいのだ。時給761円なら機器導入・運用コストより安いとしても、1,500円なら自動機の方が安いことになる業種・企業はたくさんある。

 

 

 自動機導入は、現場の作業手順を大なり小なり変える。これに反発する従業員・組合等に配慮していた企業経営者も、倒産がちらつけば決断せざるを得ない。結果として、国内企業が雇用を減らし、その分のシステム開発のある部分はオフショアでインド等から調達することになろう。このあたりを、国会議員の皆さんはよくご理解いただきたいものです。