Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

北新地、「花様~ka-you~」

 今回は大阪への1泊2日の出張、一日目は現地企業さんとの打ち合わせである。夕方5時半、話はまとまって席を代えますかということになった。何度か日帰り出張の時に、この企業のオフィスがある北新地で、お寿司屋さんとすき焼き屋さんのランチを食べた。北新地は大阪を代表する食のエリアで、いっぱい面白い店があるという。

 
 今回は1泊だと伝えてあったので、先方も「ここはどうですか」という店を予約しておいてくれた。それが北新地の「花様 ka-you」さん。入口には野菜の売り場があって、一瞬八百屋さんかと思ったくらい。この店の売り物は近江野菜。ワインも滋賀県で作ったものを中心にしているくらい、こだわりのある店だ。
 
 滋賀県旧国名でいうと、近江と甲賀である。僕の母方の祖父母は甲賀に出身だった。ある程度の懐かしさもあってなるべくたくさんの品目を食べたいと思った。琵琶湖もあり山岳地帯も多いのがこの県、店の人によると、滋賀県はバラエティ豊かな産品が取れる上に、この店は多くの契約農家から食材を定常的に仕入れているのだという。
 
 まず飲み物はと言われて、おじさん4人ゆえ「とりあえずビール」なのだが、プレミアムモルツのもう一つ上の「マスタードリーム樽生」を頼んだ。気分だけかもしれないが、確かにうまい。前菜として出てきたのが豚のしゃぶしゃぶ鍋、豚はあくまでわき役。主役は豚の味付けで食べる水菜などの野菜たちである。続いて野菜のテンプラ、醤油炒めなどが出てきて、次には30種野菜の大皿料理。これには感動した。

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 合わせたのは、滋賀県産の白ワイン。カベルネ・ソーベニヨンだったが少し冷やした程度で口あたり良くどんどん進む。おじさん4人で、あっという間に2本空けてしまった。最後は緑の何かを練りこんだうどんは締めに出てきて、大変まんぞくしたディナーになった。
 
 本当に北新地と言うところは、食のワンダーランドだと思う。日本中の、ひょっとしたら世界中の美味しいものを集めてくる意欲が感じられる。さすがは「食い倒れの街」できれば何度か来たいですね。

八重洲の新顔ランチ「天金狗」

 この日は午後3時から「ベルサール八重洲」でのイベントに参加する。ある団体の年次総会なのだが、一般会員はオンライン参加・・・というかYouTube配信の映像を見てもらう。すでに議決関連のデータは事務局に集まっていて、この場で議案がひっくり返るようなことはない。

 

 霞ヶ関を含む関係機関の人が「ベルサール」の一室に集まり、偉い人のビデオメッセージを流した後、代わる代わる登壇するわけだ。僕もそのうちの一人だったので、リハーサルも含め集合は午後2時。午前中丸の内オフィスで雑事をした後、遅めのランチを途中で食べて、向かうことにした。八重洲地下街の北の端の出口を出たところに、かつては良く行ったランチのお店があった。

 

富士そば

小諸そば

松屋

・家系ラーメン

 

 のどこかで、久し振りに食べようと階段を登ると・・・あれ何もない。その一角全部が(チケットショップを除いて)全部無くなって再開発中、フェンスの向こうで重機が動いているだけだ。下世話なものだが、食べられないと分かるとちょっと残念。

 

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 仕方がないので、あまり足を向けたことのない呉服橋交差点に向けて歩いて行った。すると、こんな店が。「ゴマタマ」が売りのラーメン屋さん「天金狗」、半地下の店内は、かなり込み合っている。ランチはここで摂ることにしよう。

 

 基本メニューは「つけ麺」と「ラーメン」、いずれも850円なり。11月にしては温かい日だったので「つけ麺」の食券を買った。麺の量が(無料で)変えられるようで、250gの中盛りにした。

 

 カウンターで料理をまつ間、スマホでこの店のことを調べてみた。今年6月に開店した新顔のお店、麵屋武蔵からのスピンアウトらしい。「ゴマ」はつけ汁にたっぷり入ってくるのだが、「タマ」は卵ではなく玉ねぎのみじん切りがつけ汁に入っているということだった。

 

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 7~8分待っただろうか、ようやく運んでもらったのがこれ。噂の玉ねぎは汁に沈んで見えない。大きめの叉焼3枚と、刻み長ネギがゴマとともにアクセントになっている。麺は中太のストレート麺、かなりのボリュームだ。

 

 麺の歯ごたえはかなりいい、汁は濃厚なのだがどこかさっぱり感もある不思議な味。なかなかの実力派である。食べるうちに玉ねぎのみじん切りが出て来て、これが清涼感の源かもしれないと思った。

 

 八重洲で850円は割合良心的な価格、気に入りましたが縁のないエリアゆえ、再訪できますかね。

オリパラ狙いのサイバー攻撃(後編)

 東京オリパラの関係者がサイバー攻撃対策として注目したのは、直前に行われた冬季の平昌五輪だった。この時もサイバー事案は発生していて、その代表的なものがロシアからの攻撃。

 

 2020年の10月に米国司法省がこのような発表をしている。「ロシアの情報機関GRUが、平昌五輪に対し、2017年末から組織委員会・大会関係者からの情報収集をし、2018年2月には大規模なサイバー攻撃を仕掛けた」。司法省は、その他の罪状(ウクライナ問題・グルジア問題・フランス大統領選挙への介入)も含めて、GRU職員6名を起訴した。さらに英国外務連邦省も「GRUは大会関係者・報道機関・スポンサーを標的とした攻撃をし、大会システムへはデータ削除の不正プログラムを仕込んだ。さらに東京大会への偵察活動も認められる」と発表している。

 

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 ロシア由来だけだったかどうかは別にして、平昌五輪では大会開会式当日に、報道機関の通信環境・映像配信・大会のサイトなどに大きな影響が出ていた。東京オリパラ関係者が危惧したのは、やはりドーピング問題で国としては参加できなくなったロシアが、国の力を背景とした攻撃を仕掛けてくることだった。幸か不幸か、開催が「COVID-19」の影響で1年延びたことによって、上記のような各国の発表が開催前に行われて準備をすることができたわけだ。その準備として、

 

1)重要サービス事業者が自主的に実施するリスクアセスメントの促進

2)スポーツ関連団体を対象にした勉強会を開催

3)特に重要な機関に対して、横断的リスク評価をNISCが検証

4)シナリオ型のサイバーインシデント対応演習を実施

5)大会期間中は約350の関係組織が情報共有プラットフォームを運用

6)24時間体制でのサイバーセキュリティ対処調整センターの運用

 

 を行ったという。その結果全編で述べたように4.5億件の不正を疑われる行為があったが、これらを遮断、大きな混乱にいたる事案は無かった。それでも、

 

・大会関係者に対するSNS上での(不適切な)書き込み

・大会を装った不正な動画配信

・(サイバー攻撃ではなかったが)大手CDNのダウンによる関係機関の障害

 

 があった。まずは関係者の努力に感謝し、今後の参考にさせてもらいたいですね。

オリパラ狙いのサイバー攻撃(前編)

 先月、NTTとオリパラ組織委員会が、大会期間中のサイバー攻撃は4.5億回を数えたと発表している。オリンピックのような大きなイベントは、いろいろな意味で狙われやすい。ミュンヘン五輪では、イスラエル選手を狙ったテロ事案もあった。そこにサイバー攻撃が新たな脅威として浮上したのが、2012年のロンドン五輪だった。

 

 2016年日本がG7の議長国だった時、デジタル系の大臣会合に合わせて民間もイベントをしてその一つのテーマが「サイバーセキュリティ」。亡くなった経団連会長が司会をしていて、呼んだパネリストの一人がロンドン五輪の関係者だった。サイバーセキュリティ強化を多くの人に訴えるきっかけになったのは、五輪というイベントもあったと思う。現に「東京オリパラ成功のために、セキュリティ強化に努めよ」と霞ヶ関から多くの企業に指示が落ちている。

 

 現在の五輪は商業化が進むとともに、国威高揚の場でもある。これを攻撃すれば、開催国を貶めることができると考えるヤカラもいる。またドーピング問題などで出場を制限された国などは、復讐心から攻撃してくるかもしれない。関係各位の努力はいかばかりだったかと思う。

 

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 その結果がまとまり始め、冒頭の発表のように情報が出てき始めた。ロンドン五輪の経験を4年後に聞いたように、セキュリティ関係者としては、参考にしたい情報である。ただ機微に触れることもあり、どこまで教えてもらえるかは不透明だ。

 

 しかし今回、本件に深くかかわった人から(ちょっとだけ)話を聞くことができた。彼が言うには、まずサイバー事案を4種類に分けて考えたとのこと。

 

1)経済的利益を狙ったもの

 偽チケット・グッズ販売や、偽サイトによるフィッシング詐欺

 

2)大会の意義を貶めようとするもの

 大会HPへの改ざんやDDoS攻撃、さらにスポンサーサイト・開催都市等への攻撃

 

3)大会運営を妨害しようとするもの

 運営システムへの侵入、システム停止やデータ破壊、さらに重要インフラへの攻撃

 

4)サイバーを手段として行うテロなど

 来日要人、五輪関係者などを狙うもので、直接被害は無くとも、関連情報が次のテロ等に活かされる可能性も

 

<続く>

 

「フェイク」の線引き

 ある外資系企業さんと話をしていたら、コンテンツの改変防止の技術を普及させたいという思いを聞いた。デジタルコンテンツは、極めて容易に転々流通する。それはいいのだが、流通先を把握することは不可能なので、勝手に改変され(いかにも本物のように)流通させられることは防げない。

 

 文書の場合は<PDF>という手法があり、改変を防ぐ措置は取られていた。じゃあ、画像・映像はどうかというと、正直危ない状況にある。以前故人の映像等をデジタル化してAI処理したら、いかにも生きているかのように動かし、話させることができると、前向きな話題として紹介した。

 

To Wake the DEAD - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 ただこれも悪用すれば「フェイクニュース」の有力な手段になる。その企業の改変防止技術への取組は非常に価値あるものだが、画像・動画に対してどこまでの変更が「フェイク」かについては、難しい問題がある。例えば、

 

・動画の一部だけを切り取る。

・色調を少し変える。

・画像の一部をボカしたり削除したりする。

 

 ようなことだ。今回、考えさせられる報道があったので紹介したい。

 

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 僕ら夫婦も大好きな函館、中でも有名な観光地である五稜郭で、映像改変の騒ぎが起きている。発端はこの映像と記事。

 

函館・五稜郭の紅葉はいいぞ…赤や黄、緑のコントラストが星形を彩って絶景!秋の五稜郭にぜひ訪れてほしい - Togetter

 

 五稜郭タワーの公式キャラ「GO太くん」の名前で、そのタワーから見下ろした五稜郭の紅葉が、実に鮮やかに写っている写真が掲載された。「いいね」を10万以上も獲得したのもうなずける美しさだ。のちにこれが請負業者の「ゼンリン」が発色加工をしたものと判明、同社が陳謝する事態になった。

 

 僕は大学での専攻は「画像処理」、サークルは「写真部」だったから、映像改変の基礎は(大昔の技術だが)知ってるつもり。色調を変えるには、あのフィルターを使ったのかな、デジタル処理なら・・・などと勝手に想像してしまった。

 

 お話の世界でも「盛る」のはよくあること。でもどこからが「虚偽」なのかは、難しい線引きです。特に事例・判例の少ないデジタル画像・映像の改変については、今後も議論が必要でしょうね。