Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

これもサプライチェーン・セキュリティ

 G7で「中国包囲網」が明確になり、自民党にもFOIP議連ができるなど、対中国の結束は徐々に強まり始めている。もちろんG7の中でもドイツやフランスは、米国ほどは目の敵にはしていない。ビジネスの結びつきも(日本同様)強いからだ。広東省の台山原発などは、フランスが実質的に設置・運営をしているらしい。

 

 香港問題でキレてしまった英国と英連邦の国は、米国寄り。日本も尖閣の摩擦などでそのあたりにいる。多くの国が眉を顰めるのが、香港や台湾、新疆ウィグルへの圧力だ。もちろん習大人は「内政問題である」と各国の干渉を突き放しているが、その態度が国際社会の反発を招くことも確かだ。

 

 香港や台湾に比べると、僕たちのところに届く情報が少ないのが新疆地区のこと。固有の言語を奪われ、思想教育をされ、あげくに臓器提供も強要されているとの噂がある。どこまでが本当かは不明だが、新疆特産の綿を使わないようにする企業が増えてきた。

 

グンゼ、新疆綿使用中止へ ウイグルの人権問題考慮:時事ドットコム (jiji.com)

 

 先日の「ミズノ」に続いて「グンゼ」も、新疆綿の使用中止に踏み切ったとの報道があった。新疆地区の産業にダメージを与える行為だが、現状では新疆ウイグルの住民にもダメージを与えるが、より漢民族が経営する企業に圧力をかけたいということかもしれない。

 

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 この件で思い出したことがある。2年ほど前、あるイベントで僕は「サプライチェーン・サイバーセキュリティ」をテーマにしたパネルディスカッションの司会役をしていた。霞ヶ関の人、業界団体の人、経済学の教授に、民間企業代表としてある化学メーカーの人を加えての議論だった。通常「サプライチェーン・セキュリティ」というと、

 

・お取引先を騙ったメール

・納入部品(チップ等)に潜むマルウェア

 

 のようなものが考えられるのだが、その化学メーカーの人は「買ってくる部品の素材の採掘場所(企業)まで調べて、そこで児童労働や強制労働、搾取などしていないかも調べている」と言い出した。なぜこれも「サプライチェーン・セキュリティ」なのかと僕が聞くと、

 

 「ブラック企業から買った素材で商売していると、炎上したら終わりだからです」

 

 との答えだった。正直その時は(デジタルの事ばかり考えていたので)びっくりしたのだが、パネル終了時には納得させられていた。新疆綿も、多分この流れですね。勉強になりました。