Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

四次元地図のススメ

 豪雨、台風、地震と立て続けに日本列島を見舞う自然災害だが、程度の差こそあれ今に始まった話ではない。奈良の大仏建立も、相次ぐ災害を鎮めるために実施された公共事業である。ある人が「風疹の流行もあるし、今こそ第二の大仏建立を」と真面目に言っているのを聞いて、ちょっと納得してしまった。

 
 しかし僕は曲がりなりにも技術者のはしくれ、もう少し科学的なアプローチはないかと考えてみた。高度成長期、増える人口を支えるため各地で宅地造成が急ピッチで進められた。家族構成も大家族から核家族で移行しており、必然的に住居の数が必要とされたわけである。宅地造成は、丘陵を切り開き、湿地などを埋め立てて進められた。
 
 例えば名古屋近郊では、JR東海道線枇杷島駅清洲駅は10余年前の庄内川決壊時に文字通り「島」や「洲」になって過去にここが湿地帯だったことを示した。かつては広島市安佐地区の豪雨災害やその後の廃線鉄道の復活を見てきたが、昨年の被災地札幌市清田区も、恐らくは沼沢地を埋め立てて作られたエリアだろう。
 
 今住んでいるところがどういうところかを、できれば住居購入前に確認していくことが望まれる。そうすればどういう危険があるか、備えはどうするべきか考えておくこともできるからだ。しかし土地に詳しくない人にとって、そういう判断をするのは難しい。「売らんかな」の不動産屋に聞いても、不都合なことは言いたがるまい。
 

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 そんな時、土地の「四次元地図」があったらいいなと思ったことがある。縦・横・高さに加える四次元目とはもちろん「時間」。以前つくばの国総研で、つくばエキスプレスつくば駅周辺の時が異なる複数の地図を見せてもらった時にそう思った。終着つくば駅のひとつ手前研究学園駅にはつくば市の市役所があるが、これらのエリアが何もないところから、道路が出来、市役所や大学関連施設が建ち、線路が通って現在の状態になるまでの変化を興味深く見た。これが四次元地図のサンプルである。
 
 国土地理院のデジタル白地図は意味あるものなのですが、誰かその上に過去の地図情報を乗っけてくれませんかね。都市計画や防災に役立つだけではなく、地域経済の活性化にもつながると思うのですが。