欧州の人たちは、アスパラガスが本当に好きだと思う。何年か前ウイーンの高級食材店「メルク」でいろんなアスパラに出会った。「ナッシュマルクト」でも、タバになったアスパラが水盆の上に立てて売られていたのを思い出す。細いミニアスパラはタイ産だった。
日本人は普通アスパラというと、緑で少し固いものという印象を持つ。しかしドイツ人は白いアスパラがソウルフードのようで、春の象徴として喜んで食べる。上の写真は、日本のスペイン料理店での一皿。ソーセージのように見える丸い切り口の見えるのが、そのアスパラ。クジラの身を巻き付け、一口大に切って花をあしらっている。優に直径3センチはある太さが、おわかりいただけよう。
最初にこの白いアスパラガスに出会ったのは、昔ドイツ人と一緒に仕事をしていたころ。旬のものを食わせてやると言われて行ってみると、メインディッシュとして出てきたのが、10本を丸太のように積み上げた白く太いもの。サウザンアイランドに似たソースが掛かっていた。白く柔らかく、ブヨブヨした食感で決して美味しくないのだが、ドイツ人どもは喜んでがっついている。僕は4本食べたところでギブアップして、ひたすらグラスワインを飲んでいた。
アスパラの芽が出ると、これに土をかぶせる。芽が伸びてきたら土を増やす。太陽に当てないようにして白く柔らかいものに仕立てるわけだ。日本で言えば、根深ネギのようなものだろうか。ずいぶん労力のかかる製造方法である。