昨年末、多くの外交文書が公開された。古くは安倍総理の祖父である岸(当時)総理が、米国のアイゼンハワー大統領に会うため訪米、日米安保の改訂を試みた話まで含まれている。僕が気になったものを挙げると、
・米ソ冷戦初期、米国が日ソの
北方領土交渉に懸念を示した。
・米
ソ連戦末期、中距離核戦力削減交渉に中曽根総理がアジアでは全廃することを主張。
・同じころ、米国から米製戦闘機の「バイ・
アメリカン」を要求された。
・売上税の議論に関し、中曽根総理の国会見通しを後藤田
官房長官が「狂っている」と批判した。
・日米
貿易摩擦が激しいころ、日本市場で「外国製
半導体を20%使う」との約束があった。
昔の話と言えばそうだが、今という時代に投影してみれば「なるほど、昔からそうだったのね」と思わせることばかりである。
北方領土交渉は趣きこそ変えたものの再び始まっているし、「いずも」空母化も
閣議決定された。中距離核戦力全廃は、中国の台頭によって見直しを迫られている。日本は、
F-35は100機以上を買う。そうそう、そういえば日米
半導体交渉などというものも記憶にある。今に投影するなら、5G問題だろうか?
最初に述べた
日米安保見直しの結果が今の状況で、それ以前は事実上の米軍占領下だったのが日本。例えば今の代々木公園は
東京オリンピック選手村跡地だが、その前は米軍の宿舎だった。70余年かけて徐々に米軍占領地は少なくなったものの、今でも横田空域や沖縄の基地群は当時のまま。
外務省がこれらの文書を一気に公開したのは、好意的に見れば現在の政治状況を鑑みて国民間の議論(
憲法・米軍基地・軍事力・
北方領土等)を活性化するためでしょう。ただうがって見ると、現政権の政策方針を弁護するためにも見えます。まあ情報はあるにこしたことはなく、うまく使えるかどうかは我々国民次第ですが。