昨日中国の軍幹部粛清の話をしたので、今日はもう一つの大国米国の軍隊について。先週ヘグゼス国防長官が、全世界に散っている軍幹部(将官クラス?)を全部集める(*1)という報道があり、何をしたいのかと大いにいぶかった。危機管理面からすれば「将官全員集合」をかけるのは、好ましいことではない。それを全世界に報道するのは、もっと好ましくない。
そんなリスクをとって何をしたかというと、
トランプ氏「内側からの侵略」警告-軍幹部らに異色の政治的演説 - Bloomberg
にあるように、トランプ「赤ちゃん」もしくはジミー・キンメル氏の言う「4歳児」の演説を聞かせるためだったというから噴飯ものである。その内容たるや、過日の国連演説同様、自画自賛と恫喝に満ちたもの。国連の件で世界各国の信頼を完全に打ち砕いた「4歳児」は、今度は米軍の信任も失ったとみていい。

一説には幹部に派遣先を留守にさせることで、幹部がかかわる不正などをあぶりだす策略ともいうが、それほど知恵が回る政権とは思えない。純粋に「威張りたかった」だけだと思う。
ただ「4歳児政権」の方針ではっきりしたことがある。軍隊は「内なる敵」に対処するのが主任務になるということだ。その敵とは、政権の言葉で言えば「左派」であり、民主党の首長がいる州や都市ということになる。現に民主党支持率9割のワシントンDCには州兵が派遣され、にらみを利かしている。友人に聞くと、街は静まり返っているらしい。
もうひとつ、ほぼ狂気を帯びた「4歳児政権」は、「America First」ではなく、「America Only」になってしまったと思う。国外のことに関わっているのはオバマ元大統領への対抗意識からノーベル平和賞が欲しいだけで、10/10の発表がどうあろうと(仮に自分が得たとしても)国外に関する興味はゼロにちかくなるだろう。
こんな最高指揮官を持ってしまった米軍軍人、特に幹部には同情します。それでも決して市民に対して銃口は向けないようお願いしたいです。違法な命令に逆らって解雇されたら、それこそ軍人の誇りだと思いますよ。
*1:ヘグゼス長官は退役軍人ではあるが、精々佐官。その人が将官・提督を呼びつけるというのも、階級を重んじる軍隊の反発を買いそうだ