出発前に見たもう一つの函館番組は、やはりNHKBSの<六角精児:呑み鉄シリーズ>。道南いさりび鉄道に乗り函館市電の操車場を見るなど楽しい番組だったが、それらに加えて七飯町の新しい酒蔵を訪問したシーンが印象的だった。
函館には美味しいものがいっぱいあるのに、合わせる日本酒に函館産のものが僅少だと、ほぼ趣味のような形で始めた酒蔵とのこと。精米度を変えた数種の銘柄を、六角精児氏が真剣に味わっていた。
番組には満足した僕だが、「函館産のものが僅少」という言葉に引っかかった。この街には、醸造所こそ青森県でだが、幻の酒米「マツマエ」を復活させて作った「ガスバリ」という美味しい日本酒があったはずだ。10年以上前に味わってファンになり、いつも買っていた銘柄だ(*1)。ただ一昨年あたりから、手に入らなくなったのも確かで、作り続けていてくれるのか心配はしていた。

そこで今回の旅では「郷宝」と「ガスバリ」を探してみようと思った。スーパーなど街歩きの中ではいずれも見つからないので<Copilot>に聞くと、
・居酒屋で「郷宝」をメニューに載せている店はいくつもある
・「ガスバリ」については情報なし
との返事。あきらめきれずに、かつて利用したこともある大三坂の酒屋さん「小村商店」で聞いてみた。すると、
・「郷宝」のメインは生酒なので、冷蔵し続けないと品質が保てない
・それゆえ、一般の酒店に並べるのは無理
・「ガスバリ」は最近、まったく手に入らない
との返事だった。残念だが、自由市場のお刺身は、増毛町産の日本酒「吟風國稀」で味わった。これも北海道産の酒米「吟風」で造ったお酒。美味しかったし、文句はないのだが、2つの幻のお酒のことは心に引っかかっていた。ところが、赤レンガ倉庫のお土産売り場を歩いていて「郷宝」を見つけたのだ。

なるほど、このお酒にだけ「要冷蔵」の表示がある。明日は帰宅というタイミングだったので、次回買って味わおうと心に決めた。見つけられただけ良かったです。もう一度この街を訪れるインセンティブになりますよね。