国民民主党が主張する「106万円の壁」の引き上げは重要な政治課題。僕はこの制度が出来た1978年の最低賃金が320円に満たなかったから、上限を3倍にしてもいい(*1)と思った。似たような制度の金額上限は一杯あって、その一つである「社員食堂」に関する税制優遇措置も、金額が長く放置されている。
「社食補助」拡大を議論へ 非課税限度額40年超据え置き―税制改正:時事ドットコム
1人当たり月額3,500円を上限とすると決まったのは40年ほど前。それを引き上げてくれとの要望が出ているとの記事だ。最初に記事を読んだ印象は、懐かしい言葉だなという程度。しかしよく考えてみると、こんな減税(控除)措置は必要なのだろうか?

入社して配属された事業所は、従業員1,000名ほどの「町工場」。付近にまともな食事ができる店はあまりない。自家用車があれば、10分ほどで「日本一大きな駐車場のある養老の滝」に行けるのだが、昼休みの45分では往復できない。必然的に昼食は社員食堂で、となる。
しかし本社機構の一つである大田区の事業所に転勤になると、職場の周りには一杯飲食店がある。しかし社員食堂が2~3割は安いので、ランチはおおむねそこで食べた。これが上記の「補助」の効果なのだろう。しかし徐々にその利用率は下がり、50歳を過ぎて利用した記憶はない。
今「補助」を拡充すれば、社員食堂がある大企業とそうでない企業の間の格差はまた開く。格差是正を言うなら、経産省のやるべきことは補助廃止ではないかと思った。大企業は福利厚生が整っているというのが、僕が就職しようとしていた時の「売り」。しかしもうそんな時代ではあるまい。団体旅行はもちろん、職場の飲み会も嫌う若い人が多い中で、職場の仲間とランチを一緒に・・・を優遇しても仕方がない。
僕は、「企業の従業員は仕事をしてナンボ。仕事の対価として時価会計で過不足なく報酬をいただく」のがスジと思っています。下手をすると付近の飲食店の事業を圧迫しかねない社員食堂など(相応の都市であれば)廃止して、その分を給料に回してあげて欲しいと思います。