僕のささやかな金融資産を担当してくれている、某証券の担当者が交代になった。副支店長からは「○○が体調を崩しておりまして」と説明を受けていたのだが、復帰しての定期的な担当交代ならいいがと心配している。
その担当者がいつも教えてくれたのが「米国の雇用統計」の見通し。雇用統計は株価などを左右(上下か?)する重要なファクターなのだ。その雇用統計を巡って、あまり信じられないゴタゴタがあった。
まず8月1日の発表(7月分)で、市場予想よりも悪い数字が出たのだが、それに加えて当局は5月分、6月分も大きく下方修正したのだ。この発表がトランプ先生とFRBパウエル議長の間で起きている戦争に、大きく影響したから事件になった。

トランプ先生は、一刻も早く利下げをさせたい。景気は堅調でインフレ懸念があるとして利下げに踏み切らないパウエル議長を「遅れてきた男」などと口汚くなじった。FRBの建物改修費が高いと、カメラの前で偽データを見せて糾弾もした。すぐに嘘はバレてしまったのだが・・・。
ちょうどFRBが大統領の意向を無視して金利据え置きをした直後のこの修正は、据え置きの根拠が「雇用統計が5~6月も順調」だったことからトランプ先生が爆発した。「俺様の政策を貶めるための故意の水増しだった」と政治的な工作をしたと決めつけ、担当の局長を解任している(*1)。
確かに修正後の数値を見ると、パウエル議長は利下げに踏み切ったかもしれないと思わせるものだ。ただ当局(&局長)が意図的に水増しし、後に修正したとも思えなかった。その疑問は、この記事で解けた。
コロナ禍以来の大幅下方修正、背景に回答率の低下傾向-米雇用統計 - Bloomberg
雇用統計の調査に対する回答率が落ちていて、速報では十分な母数が得られていないのだ。速報の後、新しい回答がやってきて、今回の修正に至ったわけ。では回答率が下がったのは何故?記事では、トランプ2.0政権の経済政策がコロコロ変わり、先が見通せないので調査への回答も遅れ気味になったとある。
トランプ先生の怒りも分からなくはないですが、結局自らの無茶な経済政策で、肝心な雇用統計の信頼性も無くしたということです。巡り巡って、あなたのせい!と申し上げておきましょう。