Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

オーストラリアの原潜導入計画

 これもトランプ2.0政権の「わがまま」である。AUKUS(インド太平洋安全保障枠組み)に基づき、米国からオーストラリアに提供されるバージニア級攻撃型原子力潜水艦(SSN)の計画がとん挫した。狭い日本列島周辺を中心に活動することを前提とした海上自衛隊と違い、オーストラリア海軍は南太平洋だけでも広大な海域を哨戒範囲としている。そこで通常動力潜水艦とはケタ違いの行動力を持つ、原子力潜水艦の導入を必要としていた。

 

 当初は兵器輸出大国を目指すフランスが、原潜を提供する約束だったが、米国バイデン政権が割って入った。AUKUSというスキームの一環で、SSNを3~5隻提供するとしてフランスとの契約を破棄させたのだ。無理を通すためか、次世代の潜水艦の共同開発までお土産にした。

 

        

 

 それなのに、今度は「自国への配備を優先する」としてトランプ政権が約束を反故にした。困ったオーストラリアは、日本や韓国も含めて通常動力潜水艦でもいいから調達しようと動き出した(*1)。

 

 報道では「米国ファースト」が理由だと述べているが、商売になるならトランプ先生は売るはずだ。「自国への配備優先」とはどういうことなのだろう。バージニア級は2024年までに26隻が就役している、米国の最新鋭SSNだが性能的には前のシーウルフ級に及ばない(*2)。今後年間1隻ずつ就役させて、66隻が配備される予定だった。

 

 それが、思ったように建造できないのではないかとの疑問がある。そこで他国への配備など無理!となったのではないか。ならば今でも造船能力をそこそこ保っている日本の造船業に機会が巡ってくる。すでに1年前に、AUKUSへの技術参画は行われることになっていた(*3)。

 

 先日も海上から「北海道一の造船所:函館どつく」を見てきました(*4)。こんなところにも仕事が戻ってきてくれればいいと思いますよ。

 

*1:原潜計画の代替案検討を 米政権見直し、導入遅れ懸念―豪元首相:時事ドットコム

*2:南シナ海での海戦? - Cyber NINJA、只今参上

*3:AUKUSへの技術参画 - 梶浦敏範【公式】ブログ

*4:新<Bluemoon号>で函館港一周 - Cyber NINJA、只今参上