トランプ先生が「大統領に就任したら1日で止めさせる」と公言していたロシア・ウクライナ戦争は、就任後半年たっても終結の兆しを見せない。業を煮やしたトランプ先生は、ロシアが50日以内に止めなければ「100%関税だ」と関税砲を放った。
この砲弾、実は貿易があまりないロシアには効き目がない。問題は「ロシアと取引している国には2次関税」が掛けられること。取引の多い中国は、ロシア貿易を止めるわけにはいかないので、小康状態にある米中関税戦争が再び激化することになる。
もうひとつ困るだろう国がインド。ロシア産原油を安く買い、自国で使うだけではなく石油精製商品としてEU諸国やシンガポールなどアジア諸国にも輸出している。美味い商売を止め、自国にエネルギー危機をもたらすロシアからの「禁油」は、モディ政権としては呑めない(*1)。

ロシアが一向に相手にしてくれないので、キレたトランプ先生は周到に準備していたかもしれない9月2日の期限を「10日後に前倒す」と言い放った。新しい期限が明日、8月8日である(*2)。
また「TACOる」かもしれないのだが、対ロシア関税と中国・インド等への2次関税は発動される公算が高い。さらに僕が危惧しているのが「3次関税」。上記のようなインドの石油製品輸出先にも、火の粉ならぬ砲弾が降り注ぐかもしれない。
原油・天然ガス輸出が命綱のロシアが輸出を止めるはずはなく、美味しい精製品の再輸出商売をインドが止めるわけもない。インドに2次関税をかけてもダメなら、さらにインドからの石油精製品輸入国に「3次関税だ」と言い出すのではないか?
シンガポールその他の輸入国は大変困るし、迷惑な話。ようやく相互関税で出口が見えた矢先なのに・・・。もっと困るのは、
・ウクライナへの支援兵器を米国から買え
・関税を下げた見返りに米国産エネルギーをもっと買え
と言われている欧州諸国。せっかく収めた相互関税に上乗せする形で3次関税がかかってきたら、域内の反米勢力が暴発するやもしれない。
もともと、戦争を終わらせるのに関税を使うなど無理な話です。それに気づいてアホなことは「TACOって」欲しいのですが、気づかないかな?