Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

首相の「戦後80年談話」を巡って

 いわゆる「石破おろし」の中で、旧安部派(特に裏金)議員が急に元気になって声をを挙げているのを、多くの市民は怪訝な思いで見ているはずだ。種々の調査でも分かるように、石破総理は成果を十分挙げていないが、そもそも裏金問題などで自民党自身が信頼を失ったのが、先の衆議院議員選挙・都議会議員選挙に続く参議院議員選挙での敗北につながったのではないか・・・と。

 

 それも一刻も早く辞めさせたいと彼らが言っているのには、終戦80年にあたっての総理談話をさせたくない思いがあるのではなかろうか。10年ごとに発信されるこの談話、2005年までは「先の大戦に関する痛切な反省とお詫び」が含まれていたのだが、2015年安倍2.0政権でこれが途絶えた。リベラル色の強い石破総理なら、その言葉を復活させることもあり得た。

 

靖国神社の大鳥居

 同じ敗戦国ドイツの状況を見てみると、米国が信頼できなくなった今年、シュタインマイヤー大統領はNATO加盟70周年式典で「長かった20世紀の終わり」と言った(*1)。「米国支配は過去のこと、ドイツはもう敗戦国ではない」との宣言にも聞こえた。

 

 ある意味安倍総理は、10年前にそれに近いことを言いたかったのかもしれない。その意思に共鳴する人たち(右派?)が、80年談話で時計の針が戻ることを警戒したのだろう(*2)。石破総理は頑として辞めないのだが、総理談話自身は行わない方向だという。これは右派に屈したというよりは、談話を発表した後の政局を避けたいとの思いだったに違いない。

 

 もし石破総理が談話を強行すれば、自民党が分裂したかもしれません。参議院議員選挙直後、石破総理が3人の総理経験者と合い「党の分裂だけは避けなければならない」と言ったのは、こういう意味だったのかと納得した次第です。

 

*1:極めて重いドイツ大統領の言葉 - Cyber NINJA、只今参上

*2:石破首相の戦後80年談話は「不要だ」と旧安倍派幹部 裏金問題で処分された幹部がまとまって退陣圧力(AERA DIGITAL) - Yahoo!ニュース