祇園と聞いても、別に<お茶屋遊び>をするわけでもなく「高級なレストランが多いな」程度の印象しか持っていなかったのだが、徒歩圏になったので少しきめ細かく歩いてみたい。ホテルを出て、50mも行くと<大将軍神社>がある。
平安京に遷都した桓武天皇の御代からある神社で、当時は京都洛中の東南の角だったらしい。ここから先は「鵺の森」と呼ばれていて、鬱蒼とした東山の麓の森林だった。源頼政の鵺退治伝説があるが、その鵺はこの森の住人(鳥?)だったという。つまりこの神社は、京都をとりまく「あやかしの者」から洛中を守護する東南の砦というわけ。

かくも伝統ある重要な神社なのだが、今はお祭りの時以外は人気もない。東西の小道に鳥居が立っていて、境内を通り抜けられることから、地元の人は近道として利用しているらしい。
そこから花見小路を南へ行くと、白川に行き当たる。この辺りから飲食店や芸術関連の店が目立つようになり<祇園北>の華やかさが感じられるようになる。極めて上品な佇まいで、歩いている僕らも姿勢が改まりそうだ。時々プロのカメラマンによるモデル撮影が行われているが、そのような行為は警察への届け出が要ると「高札」にあった。


白川筋はきれいに舗装されていて、柳などの緑も豊富。川の向こう側には旅館や料亭が並び、個々に橋がかかっている。川は浅いが、水は透明度高く清らか。白川筋には、スマホをかざす外国人観光客が絶えないが、それを掻き分けるようにしてタクシーや配送トラックがやってくる。
外国人観光客の多くはガイド付き、英語はもちろんラテン系の言葉でガイドしている人もいた。外国人のマナー違反のような話はよく聞くが、ここではそのような風情はない。皆まじめにガイドの声に聞き入っている。

このカフェは、まるきり「川床」でしたね。いかにも涼し気でした。