復活祭直後の先週、バチカン(ローマ教皇庁)はフランシスコ教皇の死去を発表した。先月重篤な病状で入院しながら、体調が回復し復活祭では「お言葉」も発しておられただけに、意外な訃報だった。
週末の葬儀にはトランプ・ゼレンスキー両大統領も参列し、期せずして重要な対面会合が実現した。平和を希求した教皇の引き合わせと言う人もいた。TVニュースでは改革者としての教皇の功績について、
・教会改革、伝統や決まり事に囚われた体制を打破
・命の大切さを説き、原爆被害者らに寄り添う姿勢
・誰も排除されない世界として、性的マイノリティや移民の権利に配慮
などが挙げられ、死後も質素な葬儀にするよう遺言してあったと伝えられる。おおむね礼賛する話題ばかりなのだが、こんなニュースもある。
異例ずくめの在位 バチカンに禍根も―ローマ教皇:時事ドットコム

先代教皇の時代にマネロン疑惑や聖職者による性暴力問題があり、信頼回復のためこれらの改革が急務だったことは確かだ。しかし結果は、13億人のカトリック信者に分断をもたらした(もしくは分断を修復できなかった)との評価もある。来月の<コンクラーベ>で選ばれる次の教皇に、課題は持ち越された部分が大きいようだ。
上記の記事を見て、教皇の死後「神の手によって悪が敗北・・・*1」と意味不明な投稿をした米国(極右)上院議員の言葉が分かったような気がした。彼女には、改革を唱えるフランシスコ教皇は「悪」であって、伝統を重んじる神が彼を除いたと見えたのだ。元気に見えた教皇が米国ヴァンス副大統領との会談後急死したのも、彼女らは偶然と思えないだろう。確かに強硬派のヴァンス氏に会って、教皇の頭に血が上った可能性はある。
バチカンのように古い組織だと必ず「組織内では普通だけれど外からは大問題」を抱えているものです。その改革に注力した教皇が「悪」に見える人もいる分断の修復は、難しいかもしれません。教皇後継を決める<コンクラーベ>が密室で行われること、例えばそういうことそのものを要改革だとも思いますが
*1:教皇死去から9時間後…「神の手によって悪が敗北」 米議員のコメントが物議醸す(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース