欧州では、選挙があるたびに「右傾化」の傾向が著しくなる。イタリアはとっくに極右政権だし、欧州議会も極右が躍進した。これに怒ったフランスのマクロン大統領が議会を解散したものの、極右と左派に挟まれて自らの中道勢力は3位に甘んじてしまった。ドイツも特に旧東独地域で極右政党が急進、今回オーストリアの総選挙でも極右政党自由党が第一党に躍進した。
極右政党は一様に「移民政策の見直し」を主張し、増え続けている移民・難民を追い返せと叫んだ。それでは、市民の主敵は本当に移民なのか?これは僕がずっと思っていた疑問だった。それに応えてくれたのがこの記事。
欧州「極右」の勝利は“民主主義の危機”ではない…「リベラル政治家」は中間層の怒りと向き合うべき(全文) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

要するに、新自由主義を進めてきた政治エリート集団に対し、没落しかかっている中間層が怒った。自分たちの税金が難民支援などに回り、自分たちに戻ってこない政治の在り方に抗議したというのだ。
エリートたちは経済界の要望に従い、グローバル化を進め格差を広げた。富裕層や大手企業は、都合のいい場所(*1)に移動しますます肥え太っていく。それに対し地域や職種、土地などにしがらみがあって動きにくい中間層は、ずっと搾取され続けた。そこに移民が大量にやってきて、自分たちより得をしている・・・。これが怒りの根源と発露の仕方である。
以前欧州の政局は「極右・極左・極中」の三極構造と言われて、意味がよく分からなかった。中道勢力が先鋭化しているとの主張だった(*2)。それが、上記の記事で納得がいった。極右台頭は民主主義の危機ではなく、リベラルな政治家が真摯に中間層に向き合えばいいということだ。
来週はいよいよ日本も総選挙投票日、まだ移民問題が大きくなっていない日本ですが、中間層の怒りには類似のものがあります。さて、日本の政党・政治家はこの問題提起にどう応えるのでしょうか?
*1:例えばタックスヘブン