Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

旧東ドイツ州で極右躍進

 先週のドイツの州選挙では、旧東ドイツであるザクセン州やチューリンゲン州で、極右勢力「ドイツのための選択肢(AfD)」の躍進が目立った(*1)。日本を抜いてGDP世界3位となったドイツだが、経済は決して良くない。特に旧東ドイツ圏では、民衆の不満が爆発寸前とも伝えられる。いわく、

 

・40年間働いてきたのに、暮らしていける年金がもらえない

・移民は、何もしないで十分な手当を受け取っている

 

 と移民・難民に怒りが向いている。そこで過激な移民排斥を訴えるAfDに支持が集まっているのだ。確かに先月ゾーリンゲンで起きたムスリムによる殺傷事件など、文化的に相容れず市民と対立しているイスラム教徒は多く、治安の悪化も顕著だ。

 

フランクフルトのマルクト(市場)

 メルケル政権時代人手不足解消のために100万人規模の移民を受け入れる政策を採った(*2)。メルケルの賭けと評されたが、結果は裏目に出たような気がする。すでにその時点で、ドイツには大量の移民が入っており、ドイツ語教育などをすれば同化してくれると生真面目なドイツ人は思ったようだが、結局彼らは同化しなかった(*3)。

 

 ただ移民問題は結果でしかないと思う。根本原因は、東ドイツ併合の時の格差が未だに解消されていないこと(*4)。優秀な労働者は、よりよい待遇を求めて「西側」に行ってしまう。僕自身、30余年前東ドイツから来たという技術者たちと知り合い、西側企業で頑張っている姿を見た。

 

 「東側」でも動けなかった人たちの不満は高まり、人手不足もひどくなる。そこでメルケル政権は「東側」のために移民への門戸を開け、現在の危機を招いたのだろう。しかし、今更地域間格差是正をしようとしても、打つ手はあまりない。

 

 このままだと「極右ドイツ」が東部に誕生、独立してしまいませんかね。そうなればプーチン先生にとっては嬉しい事態ですが・・・。

 

*1:ドイツ東部州議会選、ショルツ首相の連立与党が敗北-極右躍進 - Bloomberg

*2:焦点:ドイツの新移民法、メルケル首相の「大きな賭け」 | ロイター (reuters.com)

*3:欧州を侵略する3つの脅威 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

*4:極右政党躍進の背景に、「西側による差別」への旧東ドイツ人の根深い怒り:熊谷徹 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)