ロシア西部でウクライナと国境を接するクルスク州で、ウクライナ軍が軍事行動を起こした。州都クルスクはウクライナ第二の都市で、ロシアが再三攻撃をかけているハルキウから北に100kmほどの距離(*1)にある。
1943年ドイツ軍は大規模な攻勢「ツィタデレ(城塞)作戦」を発動、ソ連赤軍も反撃して最激戦期にはドイツ軍90万人、赤軍250万人が激突した。ドイツ軍は駆逐戦車エレファントや重自走砲フンメルなど新兵器を投入したものの、最終的に40万人以上を失って後退した。赤軍も100万人以上の犠牲を出している。この戦いは「クルスク大戦車戦」と呼ばれ、映画化もされている。
そんな場所で、ウクライナ軍が最初のロシア領侵攻を開始しているのだ。旅団規模の歩兵・戦車のコンバインドアームズが投入されていて、精鋭空挺部隊も加わっている。防御一辺倒だったウクライナ軍が、ついに攻勢に転じたかと伝えられている。
ウクライナ越境攻撃のクルスク州、「激しい戦闘が進行中」 住民はプーチン氏に支援要請 - CNN.co.jp
欧米諸国の支援が逆に制約になって、自由な作戦行動が取れないとされるウクライナ軍だが、作戦領域を拡大する動き(*2)は見られる。しかしそんなレベルではなく、ついにロシア領内への逆侵攻を開始した。この作戦の目標はいくつか考えられる。
2)ロシア国内の重要インフラの機能停止、もしくはそれに関する脅威
3)ウクライナへの脅威をもたらす戦闘能力の排除、もしくはそれへの警告
多分戦術級の3)の目標が最大の狙いだったのではないか。F-16が実戦参加してくるにあたり、ロシア側の(この方面での)航空関連戦力を削減したいのだろうと思う。航空基地や防空戦力拠点、これらを除けば今後の反攻が容易になる。
防御だけでは勝てません。ロシアを攻めてこそのウクライナの優位です。特に航空優勢は重要です。さて、この戦争の推移はどうなるのでしょうか?
*1:東京駅~熱海駅間がそのくらい