欧米各国では特に物価の高騰が顕著、賃金も上っているが金利も(日本と違って)高く、庶民の財布は厳しい。そこで各政党は選挙目当てのバラマキに走りたいのだが、問題はどういう播き方をすれば票が増えるかが悩み。もちろん増税などと、口が裂けても言うわけにはいかない。
ただ、それも選挙が終われば「別の世界」。かつての英国保守党トラス政権のように、市場から「No」を突き付けられるように財政運営をすれば、内閣は退陣するはめになるので財政再建には真剣に取り組まなくてはならない。ただ政権交代直後には、播き方ならぬ「巻き上げ方」を提案する唯一の機会がある。今一足先に政権交代が起きた英国労働党政権が、その方向に足を踏み出している。
英財政に220億ポンドのブラックホール、新財務相が主張-増税示唆か - Bloomberg
ほぼ敗北が見えていたにもかかわらず、保守党スナク政権はコア支持層に受ける政策を乱発した。その結果、財源の手当てがないままに推進されそうになっていた施策が見つかったのだ。
そこで労働党としては、
・富裕な年金生活者への冬季支援カット
・成人向け社会福祉改革の中止
・交通プロジェクトの見直し
などするとともに、カットしきれない分については増税も示唆している。選挙公約として増税は言っていないのだが、保守党政権時代の「負の遺産整理」のためにはやむなしと市民に説明したいようだ。この記事にはないが、不法移民のルワンダ輸送については実施されないのだが、ルワンダ政府は支払いを要求している。国際関係なので、これは支払うことになるだろう。
翻って見ると、岸田政権でも「財源の手当てがはっきりしない」案件が残されている。防衛費GDP比2%の件でも一部あるようだし、少子化対策予算について「今後検討」となっていたものもある。これらは自公政権が続くなら、よく分からないうちに閣議決定などで処理されてしまいかねない。もし政権交代が起きれば、
・財源がないので、これらの政策は中止
・増税してでも、財源の手当てを付ける
ような政策論議ができるかもしれません。こういう点も含んだ、世論の「政権交代要望」なのでしょうか?