Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテの現場、桜川市(5/終)

 参加してくれた3自治体の概況は、

 

筑西市 人口約10万人、市の土木職員70名

桜川市 人口約3.9万人、市の土木職員15名

益子町 人口約2.2万人、町の土木職員5名

 

 となっている。いずれも技術職の採用・育成には苦心していて、筑西市以外に技術者はいない。そこで請負事業者に期待がかかるのだが、今回参加してくれたのは、桜川市の61事業者(いわゆる土建屋)の共同体から3人の社長さん。従業員は8~14名というから、僕らの感覚では「中小」ではなく「零細」事業者。自治体、事業者さんから事情を聞いた後、僕は事業者さんに、タブレット、車のセンサー、衛星電磁波などの事例紹介を受けて「新技術は皆さんにとって、期待か脅威か」と質問した。すると、

 

    

 

・確かに人手不足の中で、期待はある

・しかし、設備導入にコストがかかり、追加ソフトの費用、運用の費用が重い

・従業員も高齢化していて、それらを使える人間が限られている

・一部に役立つことはあるが、結局やること(工事)は同じ、2重手間になる

 

 と言う。僕は重ねて「設備や要員を61社で共有することは出来ないか」と問うた。すると「新技術を使って効果のある案件が滅多になく、恩恵を受けるのは数社に限られ、共有にならない」との答え。

 

    

 

 他の委員が「連携」について聞いたが「61社間で連携して受注した例は、ほんの数件」という。東京の大手ゼネコンを請負者にして、その傘下で仕事をするのはどうかという問いにも「まずどんな地元企業でもやりたがらないだろう。大手の下ではまともな取り分を期待できない」との返事だった。今回の参加者には、大手ゼネコンの人もいたのだけれど、実に率直な回答である。

 

 「新技術を使って困っている地方に光を」と思ってる人たちにとっては、絶望的な答えなのだが、ある意味率直な意見交換ができた。さて、この日得られたことを、どうやって生かしていけるでしょうか?ご協力いただいた皆さん、お世話様でした。