Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

イジューム電撃戦

 正直、第二次世界大戦で脚光を浴びた「電撃戦」というドクトリンが、80年後の今日まで生き延びているとは思わなかった。ウォー・シミュレーション・ゲームでは何度も体験したことだが、それは「歴史の追体験」に過ぎず、まさかリアルにそれを見ることになろうとは・・・。

 

 南部ヘルソン州での攻勢は、その陽動だったのかもしれない。ウクライナ軍の主力機甲部隊は東部ハルキウに集結していて、そこから交通の要衝であるイジュームに向けた突破作戦を敢行したと思われる。

 

【速報中】ロシア軍、北東部ハルキウ州の要所イジュームから撤退へ [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

 両国の公式発表は、なかなか鵜呑みには出来ないものだが、ウクライナ側が「いくつかの集落を解放」と言い、ロシア側も「イジュームから軍を再配置する」と発表している。要するに包囲されそうになったので撤退するということ。

 

    

 

 軍事専門家によると、これまで東部戦線は膠着していて、ロシア軍は数キロ/週しか進めていなかった。ところがウクライナ軍の今回の反撃は、80キロ(直線距離では50キロ)ほども1日で進んだという。これは、大量に物資を消費する機甲部隊が後続する補給部隊を待ちながら進撃する距離としては、ほぼ上限の速度と思われる。

 

 NATO側は「電撃戦」に必要な戦車や装甲兵員輸送車について、最新兵器を供与していない。だから主力となったのは、旧式のソ連製T72戦車と、米国製M113装甲兵員輸送車だろう。問題は、その攻勢がいつまで続けられるかということ。またロシア軍が反撃してきてこの機甲部隊が損害を受けた時、「二の矢」があるかということだ。

 

 ロシア軍が士気阻喪して崩壊してくれれば、この貴重な機甲部隊を損なうことなく戦果を拡大できるのでしょうが・・・。