ロシアとウクライナの間の緊張が高まっている。多くのニュースが流れてくるが、推測の域を出ない情報も多い。こういう時、各国外務部門や国防部門は、
・SIGINT 通信・電子・信号・音響等のデジタル情報
・OSINT メディア・広報等の公開情報
・HUMINT ヒトから得られる情報
などを駆使して状況把握に努めている。Intelligenceとは、整理されてウラの取れた上にニーズに合ったものとの意味で、噂のレベルであるInformationとは一線を画したもの。今流れているニュースの大半は、まだInformationの域を出ていない。いわく、
・ロシアの機動兵力の75%にあたる20万人ほどが侵攻圏内に配備
・ロシア軍は通常の燃料・弾薬・食料以外にも、輸血用血液が国境付近に輸送中
という具合。ベラルーシで行われていたロシアとの共同軍事演習は、西側メディアにも(英語通訳付きで)公開され、T-90改と思しき戦車などが派手に走り回り、ロケット砲が火を噴き、気化爆弾のようなものが投下されている映像を僕も見た。
バイデン大統領は「プーチン大統領は侵攻を決断したと、私は確信している」と述べたが、いざ全面戦争になればプーチン大統領が言う「誰も勝者にはなれない」ので、侵攻の可能性は低いと僕は思う。
ただ東部ドネツク州あたりでは内戦に近い状態になっていて、プーチン大統領が一方的に親ロシア勢力が支配している地域の独立を宣言し軍隊を駐留させようとしている。これを「侵攻」とみるかは議論があろうが、最前線にいるのは上記演習でメディアに見せつけた「見える兵器」ではないと思う。すでにウクライナ政府等にサイバー攻撃が成されているとの情報もあるが、その種類の「見えない兵器」のはずだ。
さらに内戦状態のところでも、新兵器の実験が行われている公算が高い。例えばこんなもの。
フランス軍 上空を飛んでいても気がつかない「鳥型ドローン」開発 監視や偵察を目的に(佐藤仁) - 個人 - Yahoo!ニュース
道具は何でもそうだが、出来上がっただけでは役に立たない。現場で鍛えられ、工夫されて初めて使い物になるのだ。ありがたくない緊張状態だが、兵器開発者にとっては理想の実験場。例えば動物に模したAI兵器が、実戦投入されるかもしれませんね。