Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ヴェナリア宮殿にて

 イタリアの地を踏むのは2度目である。10年ちょっと前、フィレンツェを旅して以来だ。今回の目的は国際会議への出席、例によって英語脳を使う羽目になり頭が痛い。往路のフライトが欠航になって、ヘロヘロになってトリノのホテルに着いたのは予定より9時間近く遅れて日付が変わるころ。軽くシャワーを浴びただけでそのままベッドへ。

 

    f:id:nicky-akira:20190427071539j:plain

 翌朝7時に起きて朝食をとり、8:30と言われたロビーへの集合時間にはなんとか身づくろいをして間に合った。いろんな国の会議の参加者たちがロビーに集まって来て、いろんな言葉で話している。内容はわからないが、こっちがドイツ語、あっちがフランス語くらいはわかる。遅参は当たり前の国、イタリア。それでも8:45には迎えのバスがやってきた。20人弱の乗客を乗せて、渋滞のひどい市街地へ乗り出した。
 
 トリノはイタリア北部ピエモンテ州の州都で、人口約87万人。ミラノに次ぐイタリア第二の工業都市で、日本人にはトリノ冬季オリンピックでの荒川選手の金メダルくらいしか馴染みはないかもしれない。トリノサルディニア王国に首都だった歴史もあり、サヴォイア王家の宮殿群が1996年に世界遺産に登録されている。サルディニア島コルシカ島(フランス領)より南で、地中海を舞台にした広大な王国だったのかと驚かされる。

        f:id:nicky-akira:20190427071634j:plain

 今回の会議場は、その宮殿群のひとつ「ヴェナリア宮殿」である。市街地の北に10kmほど離れて空港があるが、その中間に位置しているのがこの宮殿。渋滞に悩まされながら、30分以上かけて到着した。
 
 昨今のテロ頻発を受けて、警備は厳重。兵士や警官が居並ぶ中を、外国人たちは物珍しそうに歩いて会議場に入った。案内してくれた人懐こそうなイタリア人に聞くと、ここは王家の夏の離宮だったらしい。ハプスブルグ家の(ウィーン郊外の)シェーンブルン宮殿のようなものだ。
 
 よく展示会などが開かれるところで、広大な庭が特徴。裏手(北)に出ると、アルプスが霞んでみえる。標高も比較的高く、涼しいのだろう。一方市街地からは適度に離れているので、警備がしやすいというのがここを会場に選んで理由だろう。
 
 9月終わりというのにもう秋が深く、ほとんど花らしいものは咲いていない。イチョウの木などは黄葉が盛りである。王家の人たちは、短い夏を楽しんだのだろうな、などと考えているうちに会議本番開始。
 
 送っておいたプレゼン用のスライドはちゃんとセットしてくれていたし、あとはモデレータの大学教授の指示に従って1時間あまりのパネルディスカッションをやるだけ。ここまでくれば、出たとこ勝負ですよ。サヴォイア王家の皆さん、応援してね。
 
<初出:2017.10>