アクション映画でよく見るのが、窮地に陥ったヒーローが、次々に出てくる敵を倒しながら武器を奪って徐々に強くなって行くシーン。素手でナイフを奪い、ナイフを投げて倒した相手から拳銃を奪い、ライフルを持った敵を撃って弾倉ごと奪う・・・。
そんなにうまくいくはずがないのだが、つい見入ってしまい手の中のロックグラスを傾けることになる。そんなヒーローものだけではなく、拳銃を持った相手ともみ合って撃ってしまったり、盗まれた拳銃が犯行に使われたり、親の拳銃を小児が誤って扱い暴発させてしまったりすることは、銃大国米国ではよくあることだ。
劇画「ゴルゴ13」では、丸腰で逃げるゴルゴに銃を渡さないように、追跡部隊の銃には実包を1発しか持たせないというシーンもあった。銃が持ち主と結びつき、持ち主以外は撃てない仕掛けが望まれるわけだ。そんな「スマートガン」が、米国で市販されるという。
他人は発射できない「スマートガン」、米国で年内発売も | Reuters
・持ち主を生体認証(指紋等)で認識する
・指輪などに仕込んだデバイスで、持ち主を認証する
・他に電子的手段(スマホ等)で安全装置を解除する
といった方法を用いないと、銃は発砲できない仕掛けである。警官が暴漢に銃を奪われて殉職・・・というようなことも防げる。ただコメントした専門家は、「ハイテクは信じてはいけない」と否定的だ。デジタルの手段で安全装置を掛けたり外したりできるのなら、持ち主以外にもそれをすることは可能だ。
あらかじめ相手の銃をサイバー攻撃で乗っ取っておき、撃たれそうになったら安全装置を掛けて逃げる。あるいは相手がいぶかしんで、銃口を覗いたところで発砲させることも出来るかもしれない。ハッキングの能力さえあれば、銃器はもちろん弾薬すら用意する必要がなく、保管やメンテナンスの手間も要らない。
専守防衛の日本は、かの国のように核兵器やミサイルの開発に血道を上げないで、相手の兵器を暴発させること(ができると見せるだけでも)で、十分な抑止力になると僕が言っているのと同じ理屈だ。
市民の安全のためと「スマートガン」の開発会社はいう。銃器メーカーのDX事例なのだが、「DX with Cybersecurity」が必要ですよと、申しあげておきたいと思います。