鉄道愛の作家宮脇俊三氏のエッセイや、40年ほど前のアリバイ崩し小説など読んでいると、「ああ、こんなに特急・急行列車が走っていたんだ」とため息が出る。新幹線整備計画の進捗は悪いことではないのだが、その結果在来線の特急・急行が次々に無くなってしまった。JRとなっての料金政策もあるのだろうが、急行列車はほぼ全滅している。
そんな中で、新幹線と並走しているにもかかわらず、特急「踊り子」だけは新型車両を投入するなど意気軒昂である。昨年のダイヤ改正では東京~熱海間を走る「快速アクティー」が無くなり、従来型の185系電車の「踊り子」も姿を消した。代りに新型257系電車の「踊り子」になり、「サフィール踊り子」という特別列車も登場した。
「COVID-19」禍は続いているが、JR東日本はこの新型「踊り子」売り出しのため、今月から、東京~伊豆急下田間の片道6,060円を半額にするキャンペーンを開始したという。名付けたのは「東海道線特急」。
特急「踊り子」、実は新幹線「こだま」がライバルだった“納得の理由” | 文春オンライン (bunshun.jp)
この記事によれば、従来から「踊り子」は伊豆観光のためだけでなく、日常「東京~小田原」や「横浜~熱海」、「品川~大船」で使っている人もいたらしい。東海道線の東京~熱海間を見ると、
・特急「踊り子」指定席 所要80分、3,560円
・普通列車 所要100分強、1,980円(グリーン車に乗れば+1,000円)
そして「踊り子」のライバルは、JR東海の「こだま」だったとこの記事は言うから、
・新幹線「こだま」自由席 所要50分、3,740円
を加えなくてはいけない。記事では「踊り子」より、普通列車のグリーン車の方が快適で、時間も20分そこそこしか違わないと言っている。
これに僕の意見を加えるとすれば、「こだま」は30分に1本あって自由席で気楽だ。「踊り子」は1時間の1本で、全車指定席と不自由。だから東京~熱海間の移動なら、「こだま」か普通列車で十分で、「踊り子」の必要性は薄い。
本来なら熱海~伊豆急下田間で走らせればいい特急で、JRが運営するより伊豆急に任せた方がいいように思います。これも同じJRとはいえ、東海と東日本が並走する路線を持ってしまったからでしょう。ちょっと残念な上記キャンペーンでした。