Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

寅年の懸念は、やはり中国

 北京オリンピックの年が明けた。英米の「外交的ボイコット」ではなく、日本政府が選んだ道は「政府関係者を派遣しない」だった。右から見れば「ボイコット」だけれど左から見れば「派遣せず」なので、どちらにも言い訳ができる。

 

 ロシア・ウクライナの国境の緊張もあるけれど、やはり今年の最大の懸念材料は「中国が何をしてくるか」だと思う。オリンピックが無事に終わるまでは、何らかの行動には出ないだろうが、その後は不透明。習大人にその気がないとしても、偶発的な何かは起きるかもしれないし、不動産バブル崩壊のように制御しきれないものもある。

 

 そんな中、サイバー空間でのアクションは、常に警戒していなくてはいけないことだ。昨年はロシア発の「悪さをするツール」が猛威を振るったが、これらは政府機関が直接関与したものは少ないようだ。ツールを手に入れた民間犯罪集団が起こした事件が中心。これに対して、やはり中国は統制が(いい意味でも悪い意味でも)とれていて、狙った獲物に高度な訓練を受けた部隊が攻撃するパターンが目立つ。

 

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 以前JAXAに対する攻撃に、中国人留学生が関与していたとして、昨年末警視庁公安部がこの留学生の逮捕状をとった。もう帰国しているので逮捕は難しいが、「アトリビュートできたよ」という抑止効果は期待できる。

 

 またサイバー攻撃ではないが、中国によるハニートラップ警戒の記事もいくつか出た。僕も2004年に在上海の領事が自殺した事件は聞いていたが、これは氷山の一角、むしろ先方から見れば失敗例のようにも思う。政府関係者だけではなく、ビジネスマンもその対象になるというから、気を付けないといけないだろう。まあNINJAなんか狙うだけ時間の無駄と言うものだが、経済安全保障の議論が高まる中、それなりのビジネスマンの方は、サイバー攻撃にもハニートラップにも気を付けていただきたい。

 

 今年は寅年、伝説の世界では「寅は千里を走る」という。また「悪事、千里を走る」ということわざもある。当家では1年間干支の色紙を飾ることにしていて、今年は正面を向いた寅の絵を選んだ。これは僕の親父(セミプロの絵描き)が描いたもの。毎年年末になると、親父が色紙を座敷一杯に広げて描いていたのを思い出す。今年が安泰な年になりますように、寅さんにお願いしましたよ。