Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

どんな「希望」が残っていたの?

 岸田内閣の重点政策のひとつは、分配政策による所得倍増だという。ジャーナリスト田原総一郎氏によれば、国家は2種類あって、

 

・冷酷な軽税国家

・手厚い重税国家

 

 なのだという。「維新の会」を除いては、与党も含めてみんな方向性としては後者に向かおうしている。これは決して「COVID-19」禍による一時的なトレンドではない。

 

 岸田政権のスローガン「分厚い中間層復活」は、民主党野田政権でも掲げられていたもの。民主党は、それに手を付ける暇もなく下野した。民主主義の維持には、健全な中間層が大勢であることは極めて重要。それは分かるのだが、結局行きつく先は「重税国家」ということになる。冷酷な国家の代表格である米国ですら、その傾向にある。しかし今回、それに竿指す事件が起きた。

 

世界の指導者ら、租税回避地の会社使い秘密取引 「パンドラ文書」で判明 - BBCニュース

 

 日本も含めてだが、王族・政治指導者・大富豪等が、違法かどうかは微妙としても「Tax Heaven」を利用した節税に励んでいたことが「パンドラ文書」という形で明らかになった。先進国の多くが「手厚い重税国家」に向かおうとしている中、市民に「ちゃんと重税を払ってくださいね」と言うべき為政者たちが、陰では「節税」していたというのだから困った話。

 

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 この記事によると、立憲民主国家英国の元首相ブレア氏が納めなかった印紙税は4,700万円に上るという。これに比べれば自民党甘利幹事長の疑惑、「300万円を政治資金収支報告書に記載しなかった」などというのは小さな話だ。

 

 ロシアのプーチン大統領、ヨルダンのアブドラ国王、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、チェコのバビシュ首相らの名前が挙がっているが、投資家のソロス氏やロジャーズ氏の名前はないらしい。やはり政治がらみで金儲けは本業でない人たちに、悪徳金融業者がすり寄ってさせている節税手段(当然法外な手数料!)だろう。

 

 これには「分配」してもらえると思っている人たちも、怒るべきだ。重税で集めたお金を回してくれるのはいいとして、政治家は税金を払っていないというのだから。こんな悪行がまかり通るなら、税金を取らないでくれといいたくなるのではなかろうか。軽税国家なら、既得権益者の「節税」も減るはずだし。

 

 「パンドラの箱」を空けて災いが散ったあとには「希望」が残っていたそうです。今回はどんな希望だったのでしょうか?