Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ワクチン・検査パッケージ

 昨年5月頃から、僕は抗体を持った人には経済活動制限を外す「抗体パスポート」というものは使えないのだろうかと思っていた。ただ、当時はワクチンのめども立たず、抗体検査はできても対象者はかなり限定されるから、ほぼ無意味だと教えられた。

 

 しかし今年の春頃からイスラエルなどでワクチン接種が進み、いわゆる「ワクチンパスポート」の議論ができるようになった。実際、夏のバカンスシーズンを控えて、欧州各国ではこれを導入し始めた。日本でも夏にはワクチン接種も進んできて、一方「緊急事態宣言」や「マンボウ」も長らく発令されていて、「With COVID-19」の状況ではその導入は意味があると思っていた。

 

 7月から「ワクチンパスポート」は申請できるようになったのだが、あくまで海外渡航用。政府は「国内利用は考えていない」とつれなかった。僕ら夫婦も2回のワクチン接種を終えてパスポート申請をと思ったのだが、市役所のサイトで「渡航の予定がある人に限ります」と大書してあって、申請する気が萎えた。

 

「ワクチン・検査パッケージ」の使い方 国民的議論を 尾身会長 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

 

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 ところがいつの間にか「ワクチン・検査パッケージ」というものの議論が始まってしまった。中味は「リスクの低い人から、経済活動を再開しましょう」なので、以前から政府が否定してきたものだ。

 

 医療関係者は「2回接種してもブレークスルー感染がある」とか「PCR検査は誤判定も多い」と懸念を示すが、産業界からは苦境にある観光・飲食関係を中心に歓迎の声があがる。「COVID-19」対策に絶対はないので、あくまで感染リスクと経済制限リスクのバランス問題である。

 

 ややなし崩し的な議論開始(これまで否定してきたことへの説明が、政府からない)だが、これ自身はいいこと。ただ各国の状況を見ていると、医療関係者とは別の懸念もある。自由の国フランスではパスポートを見せないとイベントや外食ができない事への反発が激しく、デモが頻発しているという。日本では自由よりは平等が重んじられるが、似たような反発もありそうな気がする。

 

 加えてイタリアでは「偽パスポート」が闇で売られていて、これも社会問題化している。いかにもイタリアらしい。さて、12月メドと言われる日本での運用、それまでどんな議論になりますかね。