この夏の渇水・高温・洪水は、世界中でひどかった。ドイツからベルギーのなだらかな地形でライン川などが氾濫、長く冠水して水が退かなかった。日本の九州地方の洪水もひどかったが、中国のそれはひとケタ違う規模だったという。全体として中国大陸は水不足のはず。しかし局地的に物凄い雨が降り、大陸のあちこちで犠牲が出た。例によって情報があまり出てこない国なので、被害に関する記事も(特に日本語のものは)多くない。目に留まったのは、この記事。
サイバー先進国・中国で「キャッシュレス」「スマート社会」が終わった日 | 文春オンライン (bunshun.jp)
内陸の河南省鄭州市とその周辺で降った豪雨の影響で、都市機能がマヒしたという内容だ。ポイントは、
・河南省全体で、死者302名、行方不明者50名、家屋被害3万戸、水没車輛41万台。
・微博(WeChat)上では被災状況の情報が飛び交った。
- 水道も電気も止まった。ガスだけ辛うじて使える。
- インターネット回線も、5Gも4Gもだめ、2Gだけが細々と使える。
- 水が退いてもしばらくはインターネットがだめで、さまざまなアプリが使えない。
通常のデータ通信は2Gのキャパシティではとても無理、微博のようなキャラクタデータだけが流通した。もちろんこのレベルの通信量では、中国の市民生活を支えるアプリなど動くはずがない。
この記事のタイトルの付け方「サイバー先進国中国で、キャッシュレス・スマート社会が終わった日」は、ちょっとセンセーショナルすぎるように思う。洪水で社会インフラが壊れれば、日本でだって移動も買い物も制約される。もちろん、社会全体のDXが進めば、インターネットインフラの重要性は増すし、万一停まったときのダメージは大きい。僕が気になったのは、2Gがいまだに動いているということ。
日本では、あと2年ほどで3Gサービスが停まる。僕のところに通信会社からは「早く4G、できればスマホに換えてください」と言ってきている。なぜ2Gが残っているのだろう。可能性として、
・2G廃止を忘れていた、さぼっていた。
・2Gじゃないと困るサービス、アプリが(公営企業などで)存続している。
・サイバー攻撃等で3G、4Gを破壊されても最低限の安全保障通信を確保する。
くらいが思いつきます。もし最後のだったら、見上げた姿勢ですよね。