Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

速やかな自衛隊派遣には拍手だが

 アフガニスタン情勢が緊迫してきて、米軍撤退期限の8月末をめぐって「攻防」が続いている。タリバンとしては「敵対勢力を追い出す」のが公約で、8月末までにはそれを達成したい。しかしカブール空港周辺などには、まだアフガニスタンを離れたい人が多くいて、彼らを安全に退避させるためには米軍の力が必要だ。戦史でも、撤退にあたっては兵力を増派することが多い。

 

 まだ日本人も残っているし、日本大使館に協力してくれた現地の人も退避させたい。日本政府が自衛隊機3機を現地に速やかに派遣したことは、大いに評価できる。1994年に自衛隊法が改正され、今回のようなケースで自衛隊が派遣できるようになった。ただ従来は「派遣できるかどうか、すべきか」について延々国会審議などが続き、迅速な派遣というのはあまり記憶にない。

 

 8月末の期限が見えていたので、今回の政府の決断はいいのだが、逆に気になることもある。派遣についての政府からの説明が、ほとんどメディアで紹介されないことだ。先日の菅総理の記者会見では、緊急事態宣言地域拡大がほとんどとはいえ、アフガニスタン情勢の話もあった。しかし記者の質問は全部「COVID-19」感染拡大対策のこと。その他の場面でも、本件に関する報道は見当たらない。

 

    f:id:nicky-akira:20210827084751j:plain

 

 というのは、自衛隊法の額面上今回の派遣には疑問点があるからだ。

 

自衛隊法第八十四条の四

 防衛大臣は(中略)生命または身体の保護を要する邦人の輸送依頼があった場合において(中略)当該輸送を安全に実施できると認める時は、当該邦人の輸送を行うことができる(以下略)

 

 まず、派遣当初から現地人の輸送が予定されていたこと。邦人以外の輸送は、今回が初めてだが主要メディアは「現地人も輸送できる」と最初からコメントしている。次に「安全に輸送できる」と誰が判断したのか、これも報道されていない。現に,

 

「イスラム国」が犯行声明…カブール空港付近の爆発、死者60人に : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

 

 という大事件も起きている。この状況が全く予想できていなかったから「安全」と判断したのか、予想はしていたが民間機を出すわけにはいかないと自衛隊派遣をしたのか?政府は説明責任があるし、メディアはそれを追求する義務があると思う。

 

 いつもなら「違憲」と騒ぐ人たちも大人しいですね。総選挙前だから、ですか?