僕が社会人になったころには、設計書を書くのも論文を書くのも全部手書きだった。設計書や関連資料などはどうせ関係者しか見ないから、規則にのっとった体裁であれば、僕みたいに字の下手な人間でも難なくこなせた。困ったのは、20歳代の終わりに本社機構の一部でTOPスタッフをさせられた時。
幹部(決して患部ではない)が読む資料だから、綺麗に仕上げないといけない。ある課長さんはA3の資料を、実に美しく仕上げる技術をお持ちだった。書き始める前から、右下隅のエンドマークの位置まで頭の中に入っているような滑らかさだった。
30歳代になると初期のPCが使えるようになって、今でいう<Word, Excel, PowerPoint>で資料をつくるようになった。文字が下手な僕には福音である。ただもともと作家志望だった僕は、資料作りも<Word>を使う。表計算ソフトは性に合わないのだ。しかし表計算ソフトを巧みに操る人も同僚の中にいた。文字だけズラズラ並べている僕のに比べ、とても綺麗で分かりやすい。そこで僕が使いだしたのが<PowerPoint>、柔軟性の高いツールで、ビジュアルを派手にしたり<Word, Excel>から一部を貼り付けたりもできた。
こんな話を思い出したのは、オフィスツールの使い方を教えてくれる記事を見かけたから。
GAFAの部長が断言「いきなりパワポはNG、ワードを軽視する人は仕事ができない」 エクセル作業者になってはいけない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
・資料は頭を整理するために、最初はA3用紙に手書きで書き始める。
・Excelの機能を使い倒すくらいになっても、Excel作業者としての仕事だけではNG。
・ちゃんとWordでストーリーがかけたら、Excelの部品も使ってPowerPointにまとめる。
というのが上手いツールの使い方だという。これには全面的に賛成である。今でもストーリー展開は<Word>で書き、その説明用に「文字の極めて少ない」スライドを造るのが僕のやり方。霞ヶ関の人達のスライドは綺麗にまとめてあるが、なにしろ文字数が多いのが難点。
<Office365>のツールの使い方ひとつとっても、個人や組織の性格が分かります。懐かしい時代を思い出させてくれた記事でしたよ。