Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

米国の死刑制度

 米国のミステリーをたくさん読んだ経験から、多くの州で死刑制度が廃止されていることは知っていた。死刑が無くなるとどうなるのか、例えば30人殺したので懲役300年だというような判決も知って、若いころだったので違和感を持った。

 

 ただ連邦国家である米国では、州によって制度は違う。よくミステリーに出てくるボストンやニューヨーク、ワシントンDCには死刑はない。コロンボ警部でお馴染みのロスアンジェルスは、制度そのものはあるのだが公約として執行しないとも聞いていた。最近読み始めたノースカロライナ州の女性判事デボラ・ノットが主人公のシリーズでも、殺人事件は起きても死刑判決はない。ロス同様、この州も廃止が公約になっているからだ。

 

ノースカロナイナが舞台の大河ドラマ - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 しかしその南に隣接するサウスカロライナ州は、まだ死刑制度がある。ちなみに、

 

・制度を残し執行もしている州 13

・制度はあるがこの10年執行していない州 7

・制度はあるが特例や公約で執行しない州 7

 

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 となっている。そのサウスカロライナ州で、死刑囚が死に方を選べる法律が成立したとの記事があった。

 

電気椅子か銃殺か、死刑囚の選択肢追加 米サウスカロライナ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

 

 米国の死刑執行は通常薬物注射だが、このところ殺害用薬物が入手できないとある。製薬会社では製造がペイしないか、モラル上製造しないかは不明だ。その結果全米で2,500人の死刑囚が処刑待ちになっているとある。日本では執行待ち死刑囚が100人を超えると法務省が焦りだすと聞いたことがあるが、さすがは犯罪大国の米国、ケタが違う。

 

 エラリー・クイーン「Zの悲劇」では電気椅子による執行シーンが1章まるまる使って描かれる。アンドリュー・クラヴァン「真夜中の死線」では薬物注射の針が打たれるところまでが描かれて、僕は両者の違いをそれらの小説で知った。銃殺については、多くのミリタリー小説で読んだ。

 

 薬物が手に入らないサウスカロライナ州では、今後死刑囚が自分で電気椅子か銃殺を選ぶことになるのだが、一番楽にみえる「薬物」が使えないのは苦しいように思う。え、僕だったら?うーん、まだ電気椅子の方がマシですかね。「Zの悲劇」のころからは改善されていることを期待して。