バザールを抜けてガイドの人が手招きする方に行くと、急に持ち物検査所に出た。ここから先は、厳重警戒のところらしい。明るく空が開けているところで、階段を降りていくと・・・どこかで見たような風景、「嘆きの壁」だった。
先日のフライトで新作の「オリエント急行殺人事件」を見たが、その冒頭シーンでも嘆きの壁を背景にポアロが名探偵ぶりを発揮するエピソードが入っていた。原作には「中東での仕事を終えたポアロは・・・」という記述しかなく、このシーンは映画シナリオの創作である。
それはともかく次々に現れて壁に向かい、何やら祈っている人たちを見ていると、荘厳な気持ちにさせられるのも事実である。若い兵士たちが連れ立ってやってきてお祈りをするのだが、肩にはM-16をかけたまま。さすがに弾倉は外しているのだが、M-16タイプは薬室に弾丸1発を送り込む機能もあるし、油断はできない。(冗談だが)
10歳代と思われる彼らは、やっぱり現代っ子。いかめしい制服ながらもスマホでおたがいの写真をとったりして、修学旅行気分でもあるようだ。椅子に腰かけ、楽譜立てのようなものに書物を置いて一心不乱に読み上げている老人もいた。異教徒としては、お祈りの邪魔にならないように早々に引き揚げてきた。階段を上って振り返ると、嘆きの壁の向こうには金色のドーム。