先日プーチン大統領を「殺人者だと思うか?」とTV番組で聞かれて、「そう思う」と答えたバイデン大統領。今回はさらに踏み込んで、ロシアの外交官10名を国外追放にし、ロシア経済の多くの部門・法人・個人を含めた制裁措置を発表した。
米、ロシア外交官国外10人追放 大統領選介入やサイバー攻撃で制裁 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
ロシア側の所業についてこの記事が挙げているのは、以下の3点。
1)2014年のクリミア併合との関連の抑圧
2)2020年の米国大統領選挙への介入
3)米国政府機関に対するサイバー攻撃
1)については8団体・個人、2)については32団体・個人が名指しで制裁対象となっていて、加えてルーブル建てのロシア国債の取引を米国金融機関が行わないようにすることも発表されている。3)については「Solarwinds」のサービスにスパイウェアを仕込む「サプライチェーン攻撃」という手段を使ったのが、ロシア対外情報庁(SVR)と断定しての措置だ。追放された10名の中には情報当局者も含まれているという。
さて問題はこれらの「所業」がロシアの犯行だということの証拠を、米国当局がどこまで握っているか、それを機密を守れる同盟国にどこまで開示するか、一般に公表するのはどこまでかということ。
2)や3)についての「お前が犯人だ」と特定することを、アトリビューションという。この能力にはデジタル技術も関わってくるが、その他の諜報ルートも含めた「ウラをとる」ことがより重要。古典的なエスピオナージから「Mission Impossible」のような映画まで、ウラのウラのウラまで読み合うのがインテリジェンスの世界。
漏洩してしまった機密を、いかにも偽物を掴ませる工作物だと思わせる話など「事実は小説より奇なり」だと、その道に詳しい人から聞いた。また証拠を握っていても、それを公開するとこちらの諜報能力を図られてしまう場合は公開はもちろん、同盟国にも詳細を知らせないこともある。逆に「ここまでは分かっているんだ」と見せつけ抑止力とするため、わざと見せびらかすこともある。
ちょうど菅総理の訪米もありました。前政権と違って同盟国重視とするバイデン先生、どこまで日本にインテリジェンス提供をしてくれたのでしょうか?