Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

足元から増える「JOB型雇用」

 早いもので、来年入社の新卒学生を対象とした会社説明会が今月から始まっている。春休みに入っているとはいえ、まだ大学3年生の諸君である。さらにこの1年、キャンパスに十分通えたかと言うと、ちょっと心もとない。ある意味2年生が終わったところで、人間関係の勉強は止まった状態にあるような気がする。

 

 一方で企業の方も「COVID-19」の影響を受けていない方が少ない。株価最高値とか「K字回復」と言ったところで、個社の事情は千差万別だ。下記の記事にあるように、採用を例年より絞り込む傾向は強くなるだろう。昨年後半は希望退職を募る企業も多かったことだし。

 

「新卒で専門職」採用に急激に傾く企業のホンネ | 高城幸司の会社の歩き方 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 (toyokeizai.net)

 

 経団連は各社に「JOB型雇用」の拡大を求めている。その結果若くても年収1,500~2,000万円になるし、「Membership型雇用」で定年まで順調に年収が伸びていくという可能性は減ってくる。うがった見方をすれば、企業は従業員を「時価」で計るようになるということ。「忠誠心」よりも「能力:成果」が決め手になるわけだ。

 

    f:id:nicky-akira:20210302165654j:plain

 

 メディアはじめ「JOB型雇用」に冷淡な声は多いが、何もできなくてもある程度の線までは処遇されることの方が不公平だと僕は思う。それが自己のやりたいことを抑えて得られるものなら、まっぴら御免である。

 

 大勢採用して平均値で成果を求める方式では、今後の企業価値は上がりにくい。そう考えた各社が「優秀な学生」を我先に集めようとしているのが、上記の記事でよくわかる。問題は何をもって優秀だと判断するかだ。20年ほど前、ある銀行の人事に長く関わった人の話を聞いた。100人の応募者から優秀と思われる50人を採用するのだが、10年以上たってその業務実績を見ると、採用時の評価(TOP採用か、及第点ギリギリか)との相関が全く無かったということ。

 

 この記事にあるように、専門性を高く評価するならば相関も出てくるだろうから、専門職採用が増えるのは理解できる。ただ専門職の場合、企業内での適用範囲が狭いのもあって、使う方が上手く使えるかという課題もある。

 

 いずれにしても企業も学生も、お互いを知らずに手探りでの折衝が始まります。よい結果になることを祈りますよ。