Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ブラックアウトへの備え

 今日は東日本大震災からちょうど10年の節目の日、各地で追悼式など行われているが、これに先立ちメディアでは10周年記念番組が放映されている。昨月末の「朝まで生TV」もその特集だった。当時の菅(カン)元総理までパネリストとして登場したのには驚いた。

 

 菅(スガ)政権が Green & Digital を看板に掲げていることもあり、どうしてもCO2削減の話は避けて通れない。そこで日本の「安全保障+エネルギー問題」をどうするかが議論の焦点だった。番組中「日本の政治家は、安全保障とエネルギーには関わらないようにしてきた」という発言があった。

 

 洋上風力や太陽光などの自然エネルギーが徐々にコストを下げることに成功し、安全性を高めることで原子力のコストが上がるから、むしろ自然エネルギーの方が安いという話も出た。それはそうなのだろうと思う。しかし自然エネルギーは不安定だ。風が来ない、太陽が陰ると出力が上がらない。蓄電池や揚水発電に貯めることは可能だが、それを融通する電力網には大きな負担がかかる。

 

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 その弊害が出てブラックアウトの危機にさらされたことが、今年もあった。日本では東日本大震災の「余震」と言われた地震で多くの火力発電所が止まって、供給量がギリギリまで落ちた。米国では全土を襲った大寒波の影響で、特にテキサス州で大規模停電が発生した。ピーク時で430万人に被害が及び、氷点下10度という寒さもあって数十人の犠牲者が出たとされる。

 

米テキサス州の電力網事業者、経営陣が辞任 寒波での停電受け | ロイター (reuters.com)

 

 識者に聞くと、米国は州毎の独立性が強いのだが、特にテキサスはその傾向があり、電力網が他の州から切り離された状態にあるという。従って外からの支援・融通ができないわけだ。そこに通常は氷点下にはならない南部テキサスの防寒設備の甘さがあって、犠牲者まで出したとのこと。

 

 上記の記事でも、責任を追及されたのは発電事業者ではなく電力網事業者。多分発電事業者を競わせ「買い叩いて」利益を上げていたのではなかろうか?利用者にしても、コスト安はいいけれど、安定供給も重要。このバランスをどうとってくれるか、事業者に説明を求めるだろう。

 

 以前サイバー攻撃で欧州全域がブラックアウトするサスペンス小説を紹介しました。こんなことにならなければいいのですが。

 

圧倒的な1,000ページ(前編) - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)