Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

アラブの海に浮かぶゆえ

 第二次世界大戦後にパレスチナの地に誕生した国「イスラエル」。2,000年間定住地を持たなかったユダヤ民族(教徒)の安住の地として、彼らの期待は非常に大きかった。特に大戦前からナチスドイツでの迫害もひどかったから、世界中に散っていたユダヤ民族は続々移住・入植してきた。

 

 しかし、そこは以前に空き地だったわけではない。英国の植民地ではあったが、アラブ民族が定住していた。彼らは故郷を追われ、ゴラン高原ガザ地区に押し込められ、そこでの生活も脅かされた。今でもPLOなどの組織でイスラエルに抵抗している。シリアやエジプトなど隣接する国のアラブ民族は、当然彼らを守るためにイスラエルと戦った。

 

 しかしイスラエル軍は強かった。四次にわたる中東戦争は、いずれもイスラエル側の完勝に終わった。ソ連製の新鋭戦車T62さえ、中古のM4シャーマンを改造した戦車に勝てなかったのだ。イスラエルには第二次世界大戦を戦ったベテラン将兵も多く、練度では大きな差があったからだと思われる。

 

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 それでも、イスラエルに不安材料がなかったわけではない。それは人口問題。中東エリアではほとんどがイスラム教徒、ユダヤ教徒は一握りしかいない。イスラエルとはアラブの海に浮かぶ国で、人口増が最大の国家目標だったのだ。そんな状況なのに戦争をすれば、犠牲者は出る。そこで戦死者を極力減らすような工夫を、イスラエル軍はした。たとえ片腕・片足を失おうとも(繁殖能力を持って)生き延びられるようなボディアーマーが用意され、メディックの組織も拡充された。

 

新型コロナ: ワクチン2回で陽性率「0.01%」 イスラエルの速報値: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 そんな話を思い出したのは、「COVID-19」のワクチン接種でイスラエルが先行しているとの上記記事を見たからだ。ネタニヤフ首相が2度目の接種を受けている写真が載っていて、すでに13万人近くの接種が済んでいるとある。別の記事では「準戦時体制」として、軍が主導した感染対策を徹底しているという。

 

 とにかく犠牲者を出さない、人口を増やすという国家戦略が、軍が前面に出て市民も納得して遂行されているのだろう。「陽性率0.01%」というのはちょっとミスディレクションな数値で、日本ではまず感染を抑え込まないとと分科会の尾身会長が言っています。ワクチン頼みだけではいけないということでしょうね。