Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

2種類の「ワニの口グラフ」

 先日、日本政府の財政出動・予算編成についてコメントしたが、税収が減る中で支出ばかりが増え累積赤字が増すのは本来好もしくない。これは「COVID-19」以前から起きていること、欧州や米国でも起きていることだ。

 

 税収と支出を年次を横軸にグラフ化すると、ワニの口が開いたように見える。各国政府はなんとかワニに口を閉じてもらおうとするのだが、上記のようにうまくいかない。結局ワニに呑み込まれてしまうのかと思うと暗澹たる気持ちだ。

 

 ところが、もう一つこれに似た「ワニの口グラフ」が話題を集めているという。それは「K字型回復」というグラフ。「COVID-19」によって世界中の企業が業績を落としたのだが、各国政府の金融緩和にも助けられて回復基調に乗っている企業が増え始めた。一方で(例えばGoToのような)政府支援にも関わらず業績を落とし続けている企業も多い。勝ち組はK字の上向きの線に乗り、負け組は下向きの線の乗ってしまうわけだ。日本市場で代表的な業種を挙げると、

 

・勝ち組 情報通信・証券・医薬品・石炭石油

・負け組 陸運・海運・空運・鉄鋼

 

 となると、会社四季報は言う。「COVID-19」騒ぎから早々に抜け出し、一人勝ちともいえる中国市場でも同じ傾向にあるという。

 

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 企業だけでなく個人についても「K字型回復」が見られる。日本の証券市場が年末に30余年ぶりの高値を付けるなど、株式市場は(絶)好調だ。一方で雇用環境は、雇用調整助成金や持続化給付金などの政府支援があっても厳しくなっている。業績回復中の企業に勤めていて金融資産を持っている人は、K字の上向きの線に乗れているだろう。一方で雇止めやリストラに遭った人たちは、下向きの線に突き落されている。

 

コロナ禍で大きな変化迫られた世界経済、変容は始まったばかり - Bloomberg

 

 このワニの口も各国政府は閉じさせようとするのだが、それも上手くいかない。無理に閉じさせようとするなら、産業の発展を阻害し経済そのものを壊しかねないからだ。今後はさらにデジタル化やAI活用で「ワニの口」が開く方向しか見えてこない。例えばゴールドマン・サックスはAI活用によって、600人いたトレーダーを2人に減らしたと言う。上記のブルームバーグの記事のように世界経済の変容の本番はこれからなのだ。

 

 各国政府の選択肢も少ないですが、個人の覚悟も問われる年になりそうですね。