Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ジャック・マー氏の行方不明は必然?

 中国政府当局がアリババグループを、日本で言う独占禁止法で調査しているという情報が流れてから、同グループだけでなくいわゆるデジタル産業の株価下落が続く。加えてアリババ創業者ジャック・マー氏がこの2ヵ月ばかり公式の場で確認されていない・・・平たく言えば行方不明であることが、投資家含めた周囲の人々の不安を掻き立てる。

 

アリババ巡る独禁上の懸念、中国ネット株に売り波及-当局の動き警戒 - Bloomberg

 

 巨大デジタル産業にとって、独占禁止法訴訟はつきものだ。米国ではかつてはMicrosoft、今はGAFAが調査や訴訟対象になっている。ただ中国での調査と、米国の調査では事情が異なる。僕自身は中国で疑惑を持たれたら、徹底的に除去されるのではないかと恐れている。

 

中国内のコスモポリタンにエールを - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 昨年上記の記事で、政府に支配されている中国と言う市場を、本来コスモポリタンである中国発のデジタル産業が変えてくれるのではないかとの期待を示した。その筆頭格がアリババである。かつてアリペイのCEOとはシンガポールでの公式会合で出会ったこともあり、金融界にイノベーションを興そうとしていることはよく分かった。

 

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 しかしそれは、旧態依然たる中国政府支配の金融市場全体を敵にまわすことを意味する。アリペイは現金よりも、クレジットカードよりも便利な決済方法を消費者に提供した。事業者にとっても、消費者の獲得のためにはアリペイ導入をせざるを得ない。直にアリペイは、銀行預金のような性格も持つようになった。その結果アリペイには膨大な消費者・事業者の決済情報が蓄積されることになる。これを用いればより適切な金利等の条件で、消費者・事業者双方に融資もできるし、事業者には投資も可能だ。

 

 これが従来中国内の金融市場で生きてきた政府の色濃い銀行などの怒りを買ったことは、充分予想できる。創業者のマーも「中国の金融規制は老人クラブ」と批判して行方不明になった。アリペイを含むアントグループの上場にストップをかけたくらいでは、当局は不安だったのだろう。

 

 マー氏が無事なことを祈りますが、このような稼げるコスモポリタンへの過度な圧力は中国市場そのものに好影響は出ないことを習大人には申しあげておきたいですね。