ある大企業の最前線で「情報セキュリティ」を担っておられる人から、意見交換ランチをとのお誘いがあった。大手だがデジタル産業ではないので、経営層含めデジタルリスクの認識が専門家ほどではないとのこと。どんな企業でもTOPと現場の乖離はあるもの、難しいテーマだがお力になれればと出かけた。
予約いただいたお店は、銀座のソニービル跡地に隣接したブロック。「BLTステーキ銀座」というアンガスビーフが売り物。米国農務省認定の最高格付けの牛肉を使用しているとWebにある。じっくり熟成させた後、925度の高温で好みの加減に焼き上げてくれるらしい。
仲介してくれた人と3人で、個室に案内された。さっそく意見交換を始めたのだが、お店の方からステーキの説明が始まる。お話はもちろん大事なのだが、ステーキ肉の部位や焼き方、ソースなどは重要な情報だ。少しだけ本論を中断して説明を聞く。ランチコースのお肉は4種類、ランプ・ハンガー・フィレミニヨン・リブアイである。ハンガーというのが耳慣れなかったので聞くと「サガリのことです。ぶら下がっているからハンガー」とのこと。3人ともハンガーを注文した。
次は焼き方で、この店では6段階選ぶことができる。
・Blue 表面焼き目、中は生
・Rare 赤色、中心部は冷たい
・Medium Rare 赤色、中心部は温かい
・Medium 少しピンクが残る程度
・Medium Well 中もほとんど火が通っている
・Welldone 完全に火が通っている
なるほど、僕が家で焼いているのはRareのつもりだったがMedium Rareだったようだ。では本物のRareを味わってみようと、Rareを注文した。他のお二人はMedium Rareだ。注文が終わると、巨大な自家製パンが運ばれてきた。中は空洞なので見た目ほどのボリュームはないと聞いて、塩を振って食べるとなかなかいける。
誘っていただいた人の経歴を聞くと、IT産業の経験もありコンサル業をされていたこともあるようだ。しばらく前に今の会社にセキュリティ責任者として招かれたとのこと。この業界、かつては本当に一握りのスペシャリストの世界だった。昨年セキュリティイベントを企画した時に、大手企業の人を3人招いて講演とパネルディスカッションをお願いしたのだが、司会の僕以外は全員2度転職を経験されていた。
専門家として遇されるのはいいのだが、生え抜きでないことから社内での「見えない壁」に悩まれることは多いだろうと思った。
<続く>