Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

口の悪い日本人を求む!

 ひょんなことから、僕など不釣り合いな格式の高い国際会議を傍聴することができた。それは<Round Table Japan>という円卓会議、2005年に始まり今回が16回目だという。いつもはちゃんとした会場を借りて、日本のスピーカーと世界各国のスピーカーが議論を戦わせるのだという。ただ今年に限ってはオンライン開催とするということと、「COVID-19」対応にはデジタル化が世界的に必要だということで、僕にも傍聴の機会が巡ってきた。

 

 今年のテーマは「ポストコロナ時代における日本の戦略的利益の確保」というもの。各国の時差を考えて、日本時間の1600~2100で2日間開催される。1セッションはおおむね90分くらい、2日間で8つのセッションが実施される。特に僕が聞きたかったのは初日の2番目、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の優先課題」である。

 

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 ダボス会議等で有名な一橋大石倉洋子名誉教授が司会役、小池東京都知事と日米各1名のパネリストが登場する。事務局から指示されたビデオ会議用ツールが見知ったものでなく、その調整に手間取ったものの同時通訳もきちんと入り期待して待った。都知事は「ポストパンデミック~デジタル東京への道」と題して20分くらいスライドを示しながら話した。しかし「公務の都合」ということで話しただけで退席、あとに石倉先生と2人のパネリストが残った。

 

 石倉先生の仕切りも上手いのだが、両パネリストが具体的な突っ込んだ話を始めた。立場もあるがある程度決まった路線の話しかしなかった都知事の話の後だけに、

 

・なぜ今までのDXはうまくいかなかったか?特に日本の電子行政。

・今回のDXを成功させるには、何が必要か?

 

 などの質問が飛び、前者への回答は「市民の視点でなく、サービスをする行政側の都合を考えてデザインしたから」、後者への回答は「行政でも教育でも医療でも、何をするのが目的かを最初に整理すること」というものだった。

 

 このセッションの評判は良かったようで、理由も識者が教えてくれた。日本人のスピーカーが割合踏み込んだ発言をしたせいだという。外国人のスピーカーが思い切ったことを言うのは当然だが、日本人は部下の作った文書を読むなど面白みが少ない。国際会議の場は「口の悪い日本人」を珍重するのだという。僕も知り合いに何人か口の悪いのはいるので、推薦してあげることにしましょうかね。